第9話 肉質上がりました
「なあ…肉質向上と聴覚上昇を覚えたんだが…。というか…なんで戦闘スキルにあるんだ?戦闘でも耐性でもないだろうこれ」
「戦闘スキルですよ!聴覚上昇があれば敵の接近に気付きやすくなりますし、肉質向上は…レベルが上がれば魔物が寄って来ますし、レベルが上がれば食欲が刺激され理性を失うかもしれませんし!ゲームで言うと斥候の戦闘スキルとタンクの戦闘スキルって感じですね!」
「………ちなみにどうやってレベルをあげるんだ?」
「え?肉質向上のレベル上げたいんですか?捕食されたい願望でも?」
「ねぇよ!ただ腕力上昇は腕を鍛えたり腕を使うことをすれば能力が上がるだろう?だが肉質や聴覚って鍛えるの無理じゃあないか?」
「そういうことですね。聴覚上昇は意識して耳を澄ませたり、肉体のレベルが上がれば。肉質向上も肉体のレベルが上がることによって上がったり…野菜やお肉、お魚…まあバランスの良い食事をとっていれば上がりますね。特に太り過ぎはダメですが少し太ると良い感じです!」
「なにが良い感じだ。そんなレベル上げないに越したことはない」
「そうですか?魔物寄ってきますよ?」
「寄ってこられても困るわ…」
「でも…」
「あ?」
「早速来ましたよ?」
視線を後ろに向けるとオークが一匹いた。
まじか。本当にこのスキルのせいなのか…?偶然だろ。そんなスキル嫌すぎるわ。
とりあえず一匹なら大丈夫だ。近づいてきたオークへ駆け寄り棍棒二本を使い殴りつける。
さっきはがむしゃらだったが今は冷静になれている。身体に棍棒を打ち付けた瞬間によろけ、そこで膝を殴打すると地面に膝を突く。反撃などさせない。力比べではまだ劣っているだろうからな。
だがコイツらオークは基本俺も見下しているからある程度の速度があれば先制しやすく、腕力上昇とレベルアップによる膂力があれば反撃させずに滅多打ちにできる。
殴っても内臓が飛び散ったりしないし、死んだら消えるからグロさもあまりないから助かるな。まあ血反吐は吐いてるし、血も飛び散るが。
そうしてあまり時間もかからずオークは消えた。
ふう。倒せたか。先制を取れて二本の棍棒という武器が手に入ったから勝てるが、オークが俺へ攻撃する隙を与えたら怪我の一つや二つは余裕でするだろう。
さて、今回は何が出たかな?視線を向けると…腕輪?が落ちていた。
なんだこれ。
「モモ」
「なんでしょうか!」
「これなんだ?」
腕輪を指差す。
モモなら知っているだろう。
「腕輪?オークから腕輪が落ちたんですか?」
「ああ」
「ドロップアイテムも全て把握しているわけではないので…なんとも言えないのですがオークの性質から考えて【膂力の腕輪】だと思いますが…。ドロップ品には呪いのアイテムもあるので【鑑定】のスキルが手に入るまでは装着はやめた方がいいですよー」
「呪いなんてあるのか?」
「ありますよー。付けたら外せないとか、毛髪がなくなるとか、理性が薄れ誰彼構わず攻撃する殺人鬼と化す呪いとかですね!」
「おい…。、毛髪は色んな意味で悪辣すぎるだろう」
「そんなことを私に言われましても困ります!」
「まあ、そうか。んで【鑑定】だったな。どんな魔物からドロップするとかわかるか?」
「確率は低いですがどんな魔物からでも出ると思いますよ。以前言ったように、基本ドロップはその種族の身体の一部だったり、スキルペーパーならその種族の特徴や持っているスキルが基本ですけど、【鑑定】だとか…例えばそうですね…。
【水中呼吸】のスキルとかそういう魔物に必要はないけど人間には必要なスキルはどんな魔物からでも出るようになっていたはずです!」
「鑑定も水中呼吸も戦闘スキルなのか…?」
「??戦闘に使えるスキルでしょう?」
「いや、鑑定が何処まで知れるのかわからんが、確かに鑑定があればどんな魔物かわかるだろうし、水中の魔物と戦うなら水中呼吸は必要だろうが…戦闘の解釈広すぎないか…?」
「うーん…まあそういうものだと思っておけばいいんじゃないですか?私もそこまで詳しいことは知らされてないですし」
戦闘で使える要素があるなら戦闘スキル、ってことで納得しておくしかないか…。
肉質向上は納得できないがな。
「まあオークだって千差万別ですから、長く生きた個体なら戦闘スキルや耐性スキル、魔法関係のスキルを持っている個体がいてもおかしくはありませんからどんなスキルが出てもおかしくはないです。基本的に種族特有の、産まれ落ちたときに必ず備えているスキルがとても出やすいってだけですので!」
「なんだ?つまり魔物それぞれドロップしやすい物は違うが、それは確率の問題であって、一応何でも出てくる可能性はあるってことか?」
「です!」
「ふむ。了解した」
「あ!でも絶対に出ないものもありますよ!」
「おい」
「最後まで聞いてくださいって。例えば芋虫系の魔物から棍術のスキルとか剣術のスキルはどう頑張っても出ません。そりゃどんなに頑張っても芋虫じゃあ剣を持てませんからね!」
「ああ…。色々な法則があるのは理解した」
「ならよかったです!で、話は戻しますが腕輪はとりあえず装着しないでおきましょう!ダンジョンフェアリーを殺したくなる呪いとかあったら困りますからね!」
「…そんなものもあるのか?」
「いえ、あるかは知りませんけど…あったら困るじゃないですか?」
「なんか突っ込むのも疲れるな」
「酷いです!そんな突っ込まれるようなことしてませんよ!」
「はいはい。まあとりあえず移動しよう。目的が増えたしな。【鑑定】と【魔力操作】と【魔力上昇】。あとは魔法スキルだな」
「頑張りましょー!」
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