第2話 迷宮妖精
おおー。目の前にウィンドウが現れステータスと思しきものが表示された。
「スキルの後ろに1とか2が書いてあると思うのですがそれは熟練度です!最大5まであってその能力の熟練度を表します。武術で例えるなら1が一般よりも上、3が達人、5はダンジョンが現れる前の魔素を扱え、吸収できない状態では不可能なので例えようのないレベルです!大地さんはどんな感じですか?」
「モモからは見えないのか?」
「はい!本人以外には見えないですね」
ならばと、一応全てのスキルと数字を説明してやった。それよりも固有スキルの方の詳細を知りたいのだが。
「凄いです!そんな意地悪な性格してるのに…」
「それは関係ないだろう」
「あ、自覚はあるんですね!でも意地悪ってスキルないんですね?」
「そんなのもあるのか?」
「いえ、全てのスキルを把握してるわけではないのであるかは知りません。スキルは固有スキルは別ですが、欄にも書いてあるように戦闘で効果の発揮するスキルと耐性系のスキルだけで、例えば料理とか家事とかそういうスキルは表示されません。またその人が一定以上に経験したことや特技が表示されます。
ちなみに意地悪ばかりしてた人なら意地悪ってスキルがあってもおかしくないです!敵に意地悪する戦闘スキルってありそうですし!
あれ?てことはそんなに意地悪なことしてこなかったのですか?」
「お前以外にしたことない」
「そ、そんな!こんな愛らしいフェアリーなのに…」
「いや、残念ながら俺の周りにはそんなうるさいヒヨコはいなかったからな」
「失礼な!こほん。それで、固有スキルは何があったんです?」
「再生と種だな。種ってなんだろうな」
「うーん。再生はかなり強力ですよ?多分ここに落ちても死んでないのは各種耐性と怪我をしても再生で治ったからでは?種は知らないです!」
そういえば起きた時腕が痺れたような違和感があったがなくなっている。再生の効果だろうか。
というか種って本当なんだろうな。変なもん植え付けられたとかじゃないだろうな?
「色々試していればそのうちわかりますよ!ざっと説明しましたが、他に何かありますか?」
「とりあえずいい。まだ理解が追いついてないってのもあるからちょいちょい質問はすると思うが」
「わかりました!あ、そうでした。私たちフェアリーはパートナーになる人を見つけサポートすることが役割なのですが、パートナーを見つける理由にそういう役割を持って生まれたからってだけじゃなくてもう一つあるんです。私たちフェアリーはパートナーと定めた人間からしか魔力。活動の源を受け取れないので、よろしくお願いしますね!あ、ダンジョン内で戦闘などをせず漂ってるだけなら魔力の供給が無くても死にませんけどね!」
「ずいぶんと大事なことを言い忘れていたな?そしてさらっとパートナーになったとか言われても…まあいいか。俺も助かるしな。魔力?エサをあげればいいんだろう?ペットができたようなもんだな」
「ペットじゃなくパートナーです!」
「で、魔力はどうあげればいいんだ」
「あ、それは気にしなくていいです!契約した時点で大地さんから余剰に溢れ出た魔力をもらってるので!」
「待て。契約だと?いつ契約した?」
「私が大地さんのパートナーになるって決めた時に大地さんが本心から嫌がってなければ自動で?」
「おい。そういうことは最初に言え」
「ちょ、ちょっとしたド忘れですよぅー」
「はぁ。…それでこれからだけど帰り道とかわかるのか?」
「それはわかりません!」
「ダンジョンから産まれて、人間をダンジョンでサポートするダンジョンフェアリーが道がわからないって…」
それは変だろう。サポートなら帰り道くらい案内してほしいものだ。
「そ、それはですね。ダンジョンで魔物を倒したり、これは地上でもいいのですが技能や魔法を使って魔素の分解や消費をしてほしいことには変わりないのです。
けど、ダンジョンって魔素をできるだけ増えないように、また留めておく機能なんですよ。なので積極的に攻略されてダンジョンコアを奪われてしまったり、壊されたりされるのは極力避けたいことなので…」
「だから内部構造などは教えられない、と」
「そうです。自力で最下層に辿り着いてダンジョンコアを奪取されるってことは。それなりに強くなったり魔物を倒して魔力を分解、消費してくれたってことなので、それは褒賞って扱いらしいんですけどね」
「褒賞ってことはダンジョンコアを獲るとなにか特典があるのか?」
「新たに自分の理想のダンジョンを作ったり、コアを吸収して強くなったりしますね」
「ふむ。ダンジョンコアでどこまでのことができるか次第だけど、褒賞といえば褒賞だな」
「はい。それでどうします?先程帰ると言ってましたけど、最下層まで目指すのもありですよ!」
「目が覚めてから魔物に出くわしてないが…ここら辺。十九層?の魔物は今の俺でもたおせるのか?」
「何が出るかは知りませんけど無理ですよ?」
おい。俺を殺す気か。というか何が出るのか知らないのかよ。
「なら帰る」
「あ、言い方が悪かったですね。再生持ってるなら生半可なことじゃあ死なないですし、敵を倒さなくても戦闘行為をしてを経験を積めばレベルはあがるので、そうやってレベルを上げて五十層まで行けばいいかな。と思って言ったんです!」
「なお悪いわ。半殺しにされまくってレベリングしろと?肉体が再生しても精神が死ぬわ!」
「それも大丈夫です!再生は精神にも効きますので!それに耐性系スキルがずいぶんとありますし、なんとかなるかと?」
「はあ。………とりあえずこの層の魔物と戦ってみるか。モモを信じるからな?苦痛はあれど死なないんだよな?」
「多分大丈夫です!即死したり必要以上にいたぶってくる敵以外は!」
「なにも大丈夫な要素がないじゃないか。やっぱ帰る。とりあえず登り階段でも探せばいいのか?」
「わかりました…。そうですね」
「わかった。なら移動しよう」
何故か壁に灯りがあるので真っ暗ではなくて助かる。
聞いてみるか。
「なあこれはなんなんだ?」
「え?灯りですよ?」
「それはわかるわ。材質とかそういうのだ」
「ああ。そういうことですか。あの光は花ですよ。発光花。周りの魔素を吸収して発光するんです。
ダンジョン内にも草花はありますが、どれも魔素さえあれば土に植っている必要も水や太陽光も必要ないんです」
「へぇ。便利だな。電気代が浮くな」
「まあ魔素さえ与えれば地上でも使えますよ?持って帰りますか?ダンジョンの壁の中にある根っこさえ取らなければまた生えますし」
「出口が近くなったら取っていくかな。というかあの花とか増やせば魔素を消費して俺たち人間がやる必要ないんじゃないか?」
「それはダメなのです。発光花もそうですが魔素によって生み出されたものは魔素を吸収することはできてもそれを消費・分解はできないのです。吸収してそれを使って放出するだけで総量は減りません。基本循環させるだけですね。
人間は元々魔素の必要としない身体なので、魔物を倒すと倒した時に出る魔素が半分程身体に入って、分解された後に吸収され己の能力や力などに還元されます。ADMEです!」
「ADMEって…吸収、分布、代謝、排泄、か?それを言うなら吸収、分解、再吸収だろ。魔力が排泄されたら循環するじゃねーか。というかなんでそんな知識まであるんだよ」
「あれ?確かに?いえいえ!確かに魔素の排泄はないですが、似たよーなものです!
それでですね、身体にはいらなかったもう半分はダンジョン内に霧散してしまいます。なんで半分かと言うと元が魔素でできた身体じゃないから、くらいしか私の知識にはありませんが。
というわけで人間は私たち魔物やダンジョン内の草花とは違って半分は分解・吸収して魔素を減らしてくれるのです。あとは元が魔素で出来た身体じゃない人間が魔法を使っても魔法として使われた魔素は消滅してダンジョン内に還ることもありませんし」
「へー」
「へ、へーって!なんかもっとこう、なんかないんですか!?」
「いや、小難しいなー。とは思ったが」
「あんまり理解してないんですか!?」
「いや、まあまあ理解はしたが…俺が何かできるわけでもないだろう?そういうものなのかーって」
「いや、魔物倒してくださいよ…」
「はいはい。倒せたらなー」
そのあとダンジョン内を彷徨う。俺が倒れていた位置から割とすぐ近くに降りの階段はあったが、登りが全然見つからない。
トイレはその辺で済ませても構わないが、水分や食事はどうするか…。
ダンジョン内はどちらかといえば涼しいのでそんなにすぐ喉が渇くことはないが…。
「ダンジョン内に水とか食べ物はないのか?」
「ありますよ?たまに壁からチョロチョロと湧き出てたり、池や湖もありますし。食べ物は魔物ですかね?
あ!私生活魔法使えるので火で焼いてあげますね!」
「池や湖とはいうか…壁にある花以外は全て土色の壁しか見えないぞ?」
「この階はそうですね」
「魔物とも合わないし。というか上階段が見つからないんだが」
「ですねー。魔物もでないですし、階段も………。あれ?」
「なにかわかるか?」
「大地さん…ごめんなさい。今気がついたのですが…ここ階層外エリアでした…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。