祐奈と別れてすぐ、再び東京湾に向かった。

お供えのお菓子やジュースは前に来たときよりも減っていた。

誰かが死んでしまっても、こうして少しずつ少しずつ薄れていって

世界には存在しないことを思い知るのだろう。


生きている限り、誰かの記憶に居続けられるのに

どうして彼女は死んでしまったのだろう

死んでしまって、彼女を忘れないように、必死に思い出の海を泳いだ

怖かった、あの楽しかった日々がもう存在しないモノだと実感するのが

もう過ぎた日々以上のことは起きないんだと感じることが


持ってきていたはさみで少し髪を切った

そしてそれを海に投げた


彼女の好きだった向日葵で作った花束を思いっきり投げた

ぱちゃん、と軽い音がして

黒い水の中に沈んでいった。


ばいばい


君の代わりに、毎日毎日少しずついい行いをしよう

そうして良い行いがたまったら、きっと君の魂も浮かばれる

だから君のところに行くことはまだ出来ないんだ

見守っていて欲しい、こんな弱くて誰にでも中途半端な優しさを振りまく僕を

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