謎の少女


俺が近所の住宅街を散歩していると交差点のところに6〜7歳くらいの少女が空を見上げながら立っていた。

近くに親はいない

迷子だろうと思い俺はその少女に声をかけた

「どうしたの、ひょっとして迷子?」

「ううん、お空の大きな石をみてるの」

俺は空を見上げたが、青空以外何も見えなかった。

「そんなの見えないけど」

「見えるよ、こっちに近づいてきてる」

俺が不思議がっていると少女が俺の顔を見て一言。

「バイ菌さんいーっぱい‼︎」

人の顔をバイ菌呼ばわりするとは怪しからんやつだなどんな教育を受けてきたのか。

俺は憤りを感じその場を去ろうとしたが、

少女を道に一人置き去りにするのは

気が引けたため家に送ろうと思い少女に

「君の家はどこ?」

と聞いた

「あっちー」

と少女は指を刺しながら

「あそこに見えるコンビニの隣〜」

と言うが、見える範囲にコンビニなんて見当たらない。

俺は仕方なく少女の手を引きながらさっき少女が指刺した方向へ進むことにした


数百メートル進むと少女が道の段差に躓き鈍い音とともに転んだ。

「大丈夫⁉︎」

少女の足からは血が出ている。転び方が悪かったか、傷も少し深いようだ。

「赤いどーなっつが流れてくよ〜」

と少女は泣きながら訳の分からないことを叫ぶ、

傷口が深いため俺はその少女を近くの病院に運ぶことにした。


「傷口は深いですが数週間程度で治るでしょう」

と医師は診察の結果を俺に報告する

そして首を傾げながら一言

「またこの子ですか、、、」

と言う、

「この子のこと知ってるんですか?」

「ああ、うちの病院によく来る子でね」

「どういう病気なんですか?」

「この子は生まれつき目が異常に発達していてね、肉眼では絶対に見れないものも見えてしまうんですよ」

「じゃあこの子が俺の顔を見てバイ菌って言ったのも、俺の顔についてるバイ菌が見えていたって事なんですか?」

「そう言うことになるね」

「じゃあ傷口を見て赤いドーナッツが流れてくって言ったのも」

「彼女には赤血球まではっきりと見えてるんだよ」

「遥か遠くのものも見えるんですか?」

「見えると思うよ」

その少女の不可解な行動の理由が分かり俺はスッキリとした。


病院からの帰宅中、街にJアラートが鳴り響いた。



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