間章 料理作品を語ろう①「食戟のソーマ」編

ネタ切れ……ではなく、ちょっと一息。

こうして作った飯を忘れないために「めしの備忘録」を書いているクロサキだが、料理が題材の作品も結構読んでいるのでちょっと語っていこう。

第一回目はアニメにもなった人気ジャンプ漫画「食戟のソーマ」(原作;附田祐斗、作画;佐伯俊、監修;森崎友紀)全36巻で行ってみます。


非常に簡単に「食戟のソーマ」を説明すると、

・主人公幸平創真が、実家の定食屋を継ぎ親父を超えるために入学した「遠月茶寮料理学園」で、学園のドンの孫娘・えりなや最初の授業で一緒になった田所恵を初め、個性豊かな面々に囲まれながら、学園の天辺を目指す、というストーリー。

これで大体合っているはず。


「食戟のソーマ」は私にとっても思い出深い漫画だ。

多分私はそれなりのジャンプっ子で、小学生の頃ジャンプをたまに親戚の家からもらって読み、「ヒカルの碁」の100回記念の号から「デスノート」の連載終了までは毎週ジャンプを買っていた。

ただ、「デスノート」が終わったあたりからは疎遠になり、「バクマン。」や「エムゼロ」を読みつつも、他の作品とか何かのらねえなぁ、みたいな感じで緩く立ち読みしていた。

そんな緩く疎遠になったジャンプに私を戻した漫画が、「食戟のソーマ」なのである。


この作品は個人的に何が良かったかというと、佐伯先生の絵や料理とエロを組み合わせた……ではなく、「ジャンプを読んでいる小中高生が作ってみたいと思う楽しいめし」と「それなりに料理ができる人間でも少しグッとくるめし」がうまく合わさっていたことだと思っている。

「らーめん才遊記」的にいうと「ワクワク」するラーメンと、良い意味で「ふむふむ」するラーメンがある感じ。


例えば、ソーマが作っていた柿の種を使った「おかき揚げ」や「すみれ印の唐揚げロール」。これは普通に、ゆとりちゃんのように(漫画が別ですみません)ワクワクする料理だと思うし、後にソーマの師匠になる先輩の四宮小次郎が作っていた「シュー・ファルシ」や「ゴボウのキッシュ」は、普通に、よだれが出そうなくらいうまそうだった。ヒロインの田所恵ちゃん(私の中ではヒロインはえりなお嬢ではなく田所ちゃんなのである)が作っていた「3種のおにぎり」の豚バラ肉の蜂蜜漬けは超うまい。

やはり料理漫画らしく、その巻を彩っためしのレシピがあったのは嬉しかった。鹿肉の料理は牛肉で代用するレシピになり、ローストビーフはジップロックに入れた肉を湯煎にかければ作れるということをソーマのレシピが教えてくれた。


また、実は私はソーマという主人公の、物語で「天才」だったり「才能のある」人間としては特別に描かれていないところが結構好きだった。

ソーマはソーマの親父から見ても特別料理の才能がある人間ではなく、ただ考え抜いて料理を創る。なので作中で、失敗もすれば料理勝負で負けることも多かった。

しかし負けたり失敗することは、料理に対する喜びにもつながるわけで。作って、失敗して、考えてまた試して……という試行錯誤を踏むのがソーマは苦ではない。むしろ負けを糧に「失敗したという経験を得た」と喜ぶ人間なのである。なので、何があってもメンタルタフネスなソーマを見るのは好きだったなぁ。


ただこの「食戟のソーマ」。不満がないわけではなく、ストーリーはえりなお嬢の親父が出てきたあたりで「……」になったし、連帯食戟とか、ソシャゲかよ!って突っ込んだし、おい薊パパお前最悪……とか、文句は結構ある。

しかし佐伯先生の綺麗な絵や料理、そして「ソーマ」という折れない主人公の魅力によって、ソーマ本編を完走。終わった直後は「ソーマのないジャンプとか何を読めば良いのか。相撲とDr.STONEと何を読めば……」と、読む漫画がないわけではないのにロスになる有様。文句がありつつも面白い漫画ではあったな……と、公式レシピブックを見ながら思います。


佐伯先生、附田先生7年間楽しく読みました。ありがとうございます。そして料理監修の森崎先生!これだけは言いたかった!


公式レシピブックに「抹茶のパンナコッタ」載せてくれてありがとう!本編にはなくタクミをイメージしたスイーツだったけど、これ、めっっちゃうまい!!!!!これ作れただけでもこのレシピブック買って良かったよ!!!水まみれで沈没させてしまってすみません!!!

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