めしの備忘録

神山雪

0品目 初めに

 クロサキイオンは食べることが好きだ。料理もそれなりに好きである。という大前提から、これを始めたきっかけがある。


 クロサキイオンは食べることが好きで料理がそれなりに好きだが、同時にクロサキイオンは作っためしを忘れる天才である。

「あれ」を作ろうとして、その「あれ」のレシピをすっかり忘れるどころか、「あれ」を作った事実さえも忘れることがあるのである。あ、うまくできたまた作ろう、と思っていても、その次がやってこない。なぜか。作り方を忘れるor作った事実を忘れる。人間の脳みそは意外によく忘れる。そして、あそこの駅の階段は何段だった、あの人がこういうことをしていたのは何年何月何日で午後ぐらいで……みたいな、人生において別に覚えていなくてもいいことは瞬時に思い出す。


 レシピにまとめとけよ? という自分の中の声もある。なので、100円ショップで売っていたレシピブックを買ってみた。気に入っためしがあったら、書いていく寸法だ。しかし見事にカラである。なぜか。書こうとするときに限って、レシピブックをなくしているからである。そして発見した時には、何を書こうとしているか忘れている。結果、レシピブックはいまだに二ページしか埋まっていない。こう見るとクロサキイオンは「忘れること」以上に、「なくすこと」に非常にたけた人間である。


 これはいかん。なにがいかんって、もう一度作るとなると、手際が一回目作った時よりも格段に悪くなっているため、料理に使われる時間が膨れあがってしまうのである。これではいかん。


 なので、ネット上でレシピ未満メモ以上のめしログを残すことにした。


 例えばブログにバズレシピを書いている主婦は「人気主婦○○の時短レシピ」とかタイトルをつけているのかもしれない。ちょっと気の利いたものを作っているのかもしれない。


 しかしながらこれは、そんなおしゃれなものではない。めし系人気ユーチューバーのような奇抜で面白味のあるものではない。あくまでも「めしの備忘録」なのである。(最初につけようとしたタイトルは「クロサキイオンの料理帖」だが、そんなご立派なものではないのである)


 そんな「レシピ未満メモ以上」のめしの備忘録だが、読んでくださる皆様の生活に、多少なりとも役に立ったら幸いである。


では行きましょう、味の世界へ。料理という広大な荒野にいざ。(不定期更新の予定です、ここ重要)

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