第8話 ミニバン

・・・・・・・・・・

御神酒

白濁していて少しねっとり感がある。

香りは甘みを感じる。

あまりアルコールを感じはしない。

口当たりは柔らかく、あまじょっぱい味。


幸せな夢を見れたかは定かではないが

夕方の15時から昼の14時まで寝てしまったみたいだ。

疲れが溜まっていたのか?

・・・・・・・・・・

やばいやばい。

もう14時過ぎてしまった。


そういえば昨日の観光客は帰ってしまっただろうか?

昨日昼前に迎えに行っていたから、遅くても夕方前には着いているだろう。

うーん、帰ってしまった確率が高い気がする。


SNSで確認してみるか。

年齢は分からないが、大体の人はタグ付けしてくれている。

魅流神社と調べてみる。


あ、更新されている。

4つのアカウントが魅流神社について投稿していた。


・30代の女性2人組

・20代のカップル

・40代の夫婦らしきカップル

・20代の女性4人組


年齢層はバラバラだ。

写真をみると、4人組は神社に泊まった様子。

楽しかったのか昨日だけで5つも投稿している。


今日は朝ごはんの写真がUPされているのみ。

今のところ大丈夫そうかな。


民泊の方も数件写真が投稿されているが不審なところはない。

このSNS上は無事っぽい。

一応この4組が陽剛村に訪れたとメールで報告しておく。

昨日の今日で行方不明になったとは分からないがもし数日後、届けを出されたときにすぐに確認することが出来る。


このくらいしか家でやることがない。


悩んでいるとあの商店のことを思い出した。

あのおじいさんに会いに行ってみよう。


身支度を整えてら買い物カバンを持ち家を出る。

雰囲気的になにか知っていそうな感じだったので何か聞けたらと淡い期待を持ちながら向かう。


家から出た時間が遅めだったからか、誰にも合わずに商店に来れた。


中に入りこの間おじいさんが座っていたところを見る。

すると、中江さんが座ってTVを見ていた。


「あれ!仲江さんじゃないですか。どうしてここに?」


パッと振り向く仲江さん。


「お、金武さんじゃん。俺は今日ここの当番でさ。」


「ここで働いてるんですか?」


「そうそう、小遣い稼ぎ。光田のじいさんと交代で店番してんだ。」


ああ、なるほど。私が行った日はたまたま光田さんの日だったのか。

残念ながら光田さんとは話せなさそうだ。


「お疲れ様です。あ、そういえば観光客の方って会いましたか?」


商品を手に取りながら話しかける。


「会ってはないけど、見かけたかなぁ。」


「もう帰っちゃったんですね、あんまり長居しないんですねー。」


「まあ見るもんもやることもないからね。」


今日は帰ってしまったのか。残念。


「管理人さんも大変だよね。一人で送り迎えするんだからさ。」


ん?神主は?


「車一台だったんですか?」


「うん、ミニバン1台だったよー。結構来てたみたいだね。」


「へー、管理人さんも大変ですね。」


ミニバンでも多くて8人乗り。

神主が連れてきた4人組はどこいった。


仲江さんは今日1日当番をしているから、早朝に出ていれば見かけてなくて当然だが朝ご飯は10時頃にあげられていた。

投稿が一時間前のだとしても、ここの道を使わずに会わないことってあるのだろうか。


街へ行くにはここの商店を必ず通らなければならない。

しかも外から商店が見やすい作りになっているので、逆側でも見やすい。


あの4人組はどこに行った?


急ぎ目に買い物を終わらせて、家に帰った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る