第6話 ふすまの奥に

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この村での行方不明者が増えた。

魅流神社に来たと綴っているアカウントを所有する人たちだ。


この村は中年以上の人たちばかりで

若者どころか子供がいない。

そこが奇妙な村だ。

元々いる村人で若いのはあそこの神社にいる二人のみ。


散歩帰りに神主にあった。

やはり人当たりが良く疑いをかけたくないような人物だ。

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このサイト…

酒の口コミサイトだ。


魅流神社の御神酒について一件だけ口コミが書いてあった。


〘この酒はすごい、幸せな夢が見たい時に見れる。〙


とだけ書かれていた。


なんだ?

幸せな夢を見られる?

しかも自分の見たいタイミングで。


御神酒を飲めばの話だが、その御神酒は神社に出されていなかった。

これはどういうことなのか。


もしこの御神酒が存在するとしてどうやったら手に入れられるのか?


思い切ってあの巫女に聞いてみるか。


もしかしたら裏に置いてあって自らほしいと言わないと出されないのかもしれない。

日にちを少しおいてから行ってみよう。



何も進展がないまま数日が経過した。

色々村を見て回ったが変わったことはなかった。


今日は神社に行ってみる。


この間管理人さんに観光客の入りを聞いて今日宿坊を使うと言っていたので

忙しいはず。


巫女が社務所に居なかったらまた出直すことにする。


忙しそうな昼前に家を出て神社に向かう。

なるべく人に会わないように向かう。


すると車が二台遠くからやってきた。

茂みにかけれて誰が乗っているのかなんとなく見ると

一台に管理人さん、もう一台に神主が運転していた。


これから観光客を迎えに行くのか?

こちらには好都合、車が見えなくなってから神社に走って向かう。

幸い誰にも合わず、神社に着いた。


街から往復で約1時間。

さっさと聞きに行こう。


階段を駆け上がり社務所に走る。


巫女がいない。


どうしようと周りを見ると呼び鈴が用意されていた。


[リリリーン!]


ベルを鳴らす。

とんとんとんと足音が聞こえ奥のふすまが開く。


「お待たせしました。」


「大丈夫です、ひとつお聞きしたいことがあるのですが。」


「はい?」


「こちらに御神酒はありますか?」


少し黙る。


「少々お待ちください。」


と言ってふすまの向こうに行ってしまった。

持ってきてくれるのだろう。


5分経ち少し時間を気にし始めたころ、巫女が戻ってきた。


「こちらです。」


「ありがとうございます。」


「3万円お納めください。」


え!そんなに高いのか。

しょうがない、調査のためだ。


「はい。」


御神酒を受け取り、家に急いで帰ろうとすると、


「他人に見られないように気をつけてください。」


「なぜ?」


「希少価値が高いものなので、限りがあるんです。なのであまり人前で見せないようにしているんです。」


「わかりました。」


その帰りは全く人に会わずに帰れた。

家につきさっそくその御神酒について調べる。

とりあえず麻薬検査をするためにキッドの上に垂らして待つことにした。

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