第2話 民泊

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陽剛村での1日目。

管理人さんは荷物の整理を手伝ってくれたり、

ご近所さんの場所を教えてくれたり、結構いい人だった。


仲江さん→一番家が近い近所の方


仲江さんからの情報

・若い子に人気な魅流神社

→神主がイケメン(多分男性)

→女性人気(しかし、男性の行方不明者もいる)

→お守り以外に新しいものを販売し始めた。

・観光者は全員民泊に泊まる

→明日管理人さんに民泊がどこにあるか聞く。


民泊に行ってどういう人が来るのか、

観光中にいなくなった人はいるのか、

神社のことを聞こう。

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朝10:00

管理人さんに電話をする。


[プルルルル…プルルルル…]


[ガチャ]


『はい、流尽(りゅうじん)です。』


「あ、昨日お世話になった金武です。」


『はいはい!おはよう。何かあったかい?』


「あのー、ここの村に民泊があると聞いたんですが、少し興味があって行ってみたいんです。

どちらにあるかわかりますか?」


『ああ、それね、私がやってるんだよ。

今日お客さん来るんだけど、その前なら案内できるよ。今から民泊の宿に向かうところだったからちょうど良かったね。』


「ありがとうございます。では今すぐ家に向かいますね。」


『車で待ってるよ。』


電話を切り、バインダーに挟んだノートとペンをカバンに入れる。

スニーカーを履き、軽く走りながら管理人さんの家に向かう。

歩くと30分くらいかかるが、走ると半分くらいで着く。

来る前からランニングの習慣をつけておいて良かった。

田舎暮らしには役に立つ。


管理人さんの家に着くと、

すでに車に乗っていた。


「すみませーん!おまたせしました!」


駆け寄りながら管理人さんに声をかける。


「意外と早かったね。乗りな。」


扉を開け車に乗り、シートベルトを付ける。

そして車が動き出す。


「もう家があるのに、なんで民泊に興味持ったんだ?」


「いやぁ、元々旅好きでよく民泊に泊まらせてもらっていて楽しかったんです。

いつか私も民泊を経営してみたいなと思っていて、その勉強がてらここも見学できたらいいなと思って電話したんです。」


「へぇ、この村では今のとこ私しかやっていないから金武さんにやってもらえたら嬉しいなぁ。」


「そうなんですね。今のところ客室は足りているんですか?」


「夏はたまに足りなくなっちゃうんだよね。その時は神社の人にお願いして宿坊を用意してもらってるんだ。」


「神社って魅流神社ですか?」


「うん、この村には魅流神社しか神社ないし、頼める所そこしかないんだよね。」


「そうなんですね。泊まっていく人は神社の観光に行くんですよね?

いつも神社に泊まれるようにするのはできないんですか?」


「神社で働いているのが神主と巫女の2人しかいないから面倒が見きれないらしい。

だから不動産を多く持ってる私がやってるんだ。」


「なるほど。そういうことだったんですね。」


と民泊について話していると目的地に到着した。

藁葺き屋根のTHE村家みたいな家だ。


「雰囲気とてもいいですね。藁葺き屋根初めて見ました。」


「こんな田舎でしか見れないから珍しがって泊まる人が多いんだ。」


「なるほど。いい戦略ですね。」


横開きの木の扉を開ける。

大きい石段がある玄関。古いがデザイン性がとてもいい。


家に上がり、部屋に入る。

20坪くらいの広い茶の間があり、

木とすりガラスで花がデザインされた扉の向こうに台所ある。

ある程度今の時代の人が使いやすい作り変えられている。


「いいですね、この家。ここに泊まる人は2、3日泊まられるんですか?」


「いや1日泊まって帰るよ。この村、神社くらいしか見るものないからね。最近まで観光客ほぼゼロだったからさ。」


やはり神社がよほど鍵になっているな。

なぜ急に人が来るようになったんだろう。


「魅流神社はなぜ人気になったかわかりますか?」


「3年くらい前に神主だった鬼綺羅 英志(ききら えいじ)が急病で亡くなって、その息子快夜(かいや)が跡を継いだ。

なってからすぐに、SNSでこの神社の存在をたくさんの人に知ってもらったり、色々やってると参拝者が来るようになったらしい。」


快夜という人が今の神主か。

SNSで顔出しをして女性を集めているということか。


「なるほど。だから観光客が増えたんですね。」


「うん、金武さんも時間あったら行ってみるといいよ。場所わかるかい?」


「いいえ、教えていただいても良いですか?」


「ここから5分で着くから案内しようか?」


「え!時間大丈夫ですか?」


「連れて行くだけなら大丈夫。」


「ありがとうございます。」


徒歩5分、若干早足で着いた。

管理人さんは鳥居前でお別れした。


ここが噂の魅流神社。

200段の階段があり、周りには木が生い茂っていて上の様子が全く分からない。

参拝者がよく来るからか、階段や草木は綺麗に整えてある。

2人だけで管理するのは確かに大変そうだ。


ついでだし軽く見てみるか。


200段ある階段を登る。

中央に手すりがあり、毎日拭かれているのか綺麗な手すりだった。


階段を登り切ると、左手に手水舎。少し奥に社務所があり、右手にはご神木、中央には拝殿と奥に本殿がある。

思ったより広い作りだ。


白い参道と赤い拝殿のコントラストがとても綺麗で見るだけでもいい、来る価値がある神社だ。


SNS映えしそうな神社だ。

若い子が来る気持ちが分かる。


社務所に行って、御神酒があるか見てみよう。

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