第59話 髪
やっと髪が腰をこすぐらいの長さになった。
縛っているので、周りはこの長さに気づかないけれど、
このまま伸ばして、日本髪でも結おうかと思っている。
文欽高島田を自分の髪で結うには、もっと長くないと
いけないそうで、まだまだかかりそうだ。
その日、ちょっと気分を変えたくて、髪型を変えて出かけた。
目の前を通り過ぎて行ったトラックに、その髪をひっかけられた。
運転手は気づいていないのか、スピードを上げる。
変な引っ張られ方をされ、髪が首に巻きついて、そのまま引きずられる。
死ぬ……死ぬ……、そう思ったとき、髪がほどけて、
道路の脇に放り出されるようにして、横になった。
あちこち擦りむいたけれど、命に別状はないようだ。
でも髪は切った。女の命、というけれど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます