第23話 鮮度

「早く食べちゃって。もう片付けたいんだから」


「今日は疲れているんだよ。少し休ませてくれ」


「でも、新鮮なところが食べたいって……」


「そうだけど、最近は腰が痛くて……」


「腰? また……変なことしているんじゃないでしょうね」


「変なことなんてしてないよ。もう腐りかけているから……」


「ま、待ってくれ。頼む。助けて……」


「おぉ、新鮮だな。まだこんなに活きがいい」


「そうでしょ。食べないで待っていたんだから」


「お、お前たちは何だよ。何で俺を食べるんだ?」


「え? ゾンビだからだよ。生きた人間を食べるんだ」


「おいしそうでしょ? いただきま~す」


二人は一斉に噛みついた。でも、すぐに離してしまう。


だって、一噛みするとすぐ、相手はゾンビになってしまうから。


生きた人間が食糧なのに、すぐに死んで、ゾンビになるから。


お腹いっぱい、食べられないことも悲劇だけれど、


彼らにはもう一つ、不幸なことがあった。


「またご近所さんが増えちゃった……」


お皿の上に乗っていた男が言った。


「今度、新しく仲間になった者です。よろしく……」

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