第22話 移植
私は臓器移植をした。
その臓器を提供してくれた母は、隣のベッドで眠っている。
母が提供に同意したのは、
「私の方が長く生きるだろうから……」
「娘に自分の臓器を与えるなんて当たり前」
「それが母親としての務め」だったそうだ。
でも、最近の研究結果によると、人間の肉体は
各部位、それこそ脂肪でさえ情報伝達物質やホルモンなどを
発しており、肉体の中で、臓器間でもコミュニケーションを
とっているのだそうだ。
そして、移植された後で食の好みが変わったり、
性格が変わったりすることもあるそうだけれど、
それもそうした臓器間のコミュニケーションの結果と考えると
理解もできるのだろう。
私は、母親から提供をうけたから、
母親の性格、行動を受け継ぐだけだ。
さぁ、今日から母親を虐待しよう。
高齢の母親を、大人の私が責める番になったのだ。
母親の性格、行動を受け継いだのだから……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます