第6章 王子とデート?と卒業までカウントダウン
第36話早速、暇なのかしら?
文化祭を無事に終え今日も楽しくグレースちゃんの朝支度。
「文化祭、楽しかったぁ。まだアンディーと繋いだ手の感覚があるの。」
グレースちゃんは早速、惚気けだ。
「もう。かなーり!上手く行ってるわよね!ジュリエットも大丈夫じゃないかしら?」
グレースちゃんの髪型、今日はフィッシュボーンにしよう。編み編み。
「だと良いけどねー。」
惚気けつつも溜息。
ジュリエットって本当に困った女だわ。
「ねえ。生徒会長ってお金持ちなの?」
案外そこがネックかしら。
きっと彼女は全て金目当てよね。
「あー。元爵位のある家柄では無いわね。領主でも無いし。彼の家は?あっ!!お父様が大学教授だったわ!」
なるほどなるほど。
お金持ち?ではありそうね。
でも、きっと他の男性より立場が弱そうだ。
まだまだ気を引き締めて行かなきゃ怖いわね。
「ジュリエットが近付いて来ても焦らずアンディー君には優しくね?」
「解っているわ!もう昔のグレースでは無いわよ?」
鏡越しにお互いに悪そうな顔で微笑み合う。
良し!今日もバッチリ!!
グレースちゃんを送り出したら自由時間。
最近ずーっとバタバタしていたから久しぶりにゆっくりしよう。
メイドさんに美味しい珈琲を入れて貰いのんびりと自室のソファに腰掛けた途端に携帯が鳴った。
「げっ・・ルーカス王子。」
まあ、良いかぁ。
「はーい。アリスよ。」
素直に電話に出る事にした。
「やあ!!昨日ぶりだ。今日は暇か?」
昨日の今日?まじでー?
「暇だけどー。久々にのんびりしてたわ。」
「では!遊びに来い!」
ん?来い?
「何処へ?城?」
尋ねるとそうだと言う。えー。面倒くさーい。
「何で城なのよ。気を使うじゃない。」
ぶっちゃけ乗り気になれない。
「外は護衛付きだぞ?それがなかなか面倒でな。」
そうか。王子って1人でフラフラ出来ないんだ。
「そうなるわよね。城って何着て行けば通してくれるの?門前払いとかされないかしら?」
迎えに来いとも言えないし。
「それはアリスの好きな服で良いだろう?城の護衛には伝えておく。準備が整い次第来い。」
「はいはい。」
くー!!相変わらず偉そう!
でも、約束してたし。突然だけど。まーいっかあ!
のんびり部屋着をスーツに着替えてっと。
無難にグレーのスーツにした。
城はウィンダイヤモンドの街にある。
どうやって行こうかしら。
タクシーが無難かなあ?
バスは此処では乗った事無い。
繁華街まで歩いてタクシー探そう。日本に比べてあまりタクシーって居ないのよねー。
メイドさんに外出する事を伝えて外へ出たら門の前に見かけない高級車が停まっている。
「アリス様ですか?ルーカス様の使いの者です。」
「はい・・・。」
えー?!お迎え?!聞いてないけど!
凄い待遇だわ!!
高級車に乗る様に促されて後部座席に乗り込んだ。
ベイリー家の車よりもクッションが良いかもー!!
「ありがとうございます。」
何かちょっとドキドキして来たわ。
何か手土産持ってくれば良かった!しまった。
せめて前日に誘ってよねぇ。
暫く車を走らせると城が見えてきた。
運転手さんは無言だ。
メールした方が良いかしら?
ルーカスにお迎えの車ありがとうございます。と送った。
この世界にも慣れて街の地理もそこそこ覚えたけれど。
ウィンダイヤモンド街を囲む様に7つの街があるイメージね。
スマホが鳴った。
『迷うと困るだろう?』
まーねー。行ったこと無かったし。
何だかんだで口は悪いけれど優しいのよねえ。
かなり近くに見えて来た。
ヨーロッパのお城みたいだわ。
凄くデカい!!
この世界って時代が古そうで古くないのよね。
高層ビル群とかは無いが。
そこそこのビルはある。
家はちょっと昔のヨーロッパ的だけど家電は現代だ。
スマホっぽいのもあるし。
ドレスは着るけど日本みたいな学生のお洒落な制服あるし。
変な世界。
「わー!素敵!」
思わず声が漏れた。城!ゴージャス!
城門を抜けてまた車を走らせる。
これ歩いたらキツい距離だったわ。
案外遠い・・・。
噴水に庭園ぽいのもある。綺麗。完全におとぎ話に出てきそうな風景と城だ。
城の前に到着。
「着きました。」
運転手さんが漸く喋ってくれた。
「ありがとうございました。」
お礼を言って車を降りる。
城の入口は想像以上に大きかった。
「こんにちは。ルーカス王子と約束している有栖川と申します。」
門番さん?警護人さん?に話しかけると軽く頷いて入口の大きな扉を開けてくれた。
ひっろーい!!!
玄関先だけでパーティー出来そうな広さとお洒落感がある。
「いらっしゃいませ。」
メイドさん達が並んで頭を下げてくれてちょっとびっくりした。
御出迎えが凄いVIPみたいね。
「どうも、お邪魔します。」
慣れない対応にドギマギしながら私もメイドさん達に頭を下げた。
「やあ!来たな!」
長い廊下の奥から嬉しそうな大きな声が聞こえた。
「ルーカス!じゃなかった!ルーカス様!!」
城の中でタメ口は不味いわよね。周りの目が痛いわ!焦るわぁ。
「ぶっ!!あはははは!何だ珍しく『様』何て付けて。」
人の気も知らずルーカスは笑いながら近づいて来た。
何か今日1日、気疲れしそうねー。
そう思いながらもルーカスに笑顔を返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます