第28話女に好かれる女ってやつは

女性票か。そうねぇ。


取り敢えず、今日はグレースちゃんの学校に付き添って学校の歴代優勝者の写真が図書室に飾ってあるらしいので見に行くことにした。


許可証は勿論、ルカ君のを借りてっと。


「私も同級生の女子に優しくしてみるわ。それと後で4人で集まるから連絡するわね!」

グレースちゃんも昨日の王子の話が解ると言う。投票者の男女比はほぼ平等だから。

「了解。図書室とかウロウロして待っているわ。」


相変わらずセキュリティの高いエリザベート学院へ潜入!!


潜入と言ってもこの許可証を下げてたら安全な人認定されているのよねえ。


図書室は1階の外れにあった。


中には司書さんかな?小綺麗な同じ年くらいの女性が居た。


「失礼します。」

「おはようございます。」

不審そうな素振りも無く笑顔で挨拶してくれた。


「あの。歴代の美男美女コンテストの写真を見たいのですが?」

「あっ。はい。それでしたら左手の奥の棚です。」

「ありがとう!」

お礼を言って図書館奥へ。入口では解らなかったけれど。広いわー。


そりゃもう凄い量の本の数。普通の市立図書館より大きいかもね。


何でもあるかも。少し写真以外にも興味が湧いてきた。


写真見たらこの世界の歴史書とか無いかしら?後は地図も見たいわ。


閲覧席も豊富にあった。

授業中だから勿論、生徒の姿は無く図書室らしく静かだった。

しかし、誰も居ない訳では無く閲覧席と本棚を見てる何処かの家の執事さんか運転手さんか?そんな人が数人いるのが見えた。


これね。

装飾の綺麗なガラスケースに写真は飾ってあった。

写真は男女ペアで撮られていて12枚。


「これは第1王子。初代優勝者なのね。」

騒がずボソボソと独り言。そこから始まって未だに続いているのかあ。


ルーカス王子も居た。

高校生らしく可愛いわねぇ。やっぱりこの人、変人だけどカッコイイわ。


優勝者同士は恋人同士の様に寄り添って写真に写っているやつ、ルーカス王子の様にめちゃ距離感のあるやつ・・・。


恐らく婚約者同士で選ばれた2人か違うかの差かしら。

ルーカス王子は特に無表情だったが。


さて、歴代の女性達。


やっぱり美人ね・・。人間性は解らないけれど顔だけはみんな本当に綺麗。

それよりもジュリエットは美人だわ。

だけど女子はジュリエットの性格は知っている筈よ。


この程度の顔なら詐欺メイク使えばいけるわよねぇ。

グレースちゃんも元々綺麗だし。


でも、ジュリエットファンの男子って投票しちゃうわよね?

もー!本当に悩む!!


女性票・・・どしよう。

女に好かれる女か。


この人・・。この何年前かの生徒。

髪も短くて綺麗でカッコイイ印象。

劇団の男役が似合うタイプだわ。


そうそう。女に好かれる女の1つは凛々しい系の美人。

問題はやり過ぎ注意。男にモテなくなってしまう。


中性的で色気も失わない美人にすれば良いのか。


うーん。

タイプ別に言うとジュリエットは可愛い系美人。

グレースちゃんはキツい系美人。


同じくジェニファーちゃんとジャスミンちゃんもキツい系美人ね。

ケイトちゃんは可愛い系だわ。


このままにしておくと女性票は分かれる。


女が恋するくらいのイケメン女性にするには4人とも身長が低すぎる。


何とも難しい。


カリスマっぽい感じじゃないとすると。

気さくで優しい、後は笑いが取れる系女子かしら。


それも難易度が高いわ。


一般的には分け隔て無く優しい子かしらね。


ダメね。評判を一新するには時間が足りないか。


難しいわぁ。

これも絶対にイベントなのよね。

ジュリエットが選ばれる様に出来ている筈なのよ。

それを覆すのは至難の業。



歴代優勝者のメイクや顔は頭に入ったからちょっと図書室見学しよう。


ゆっくり考えるにはこの静かな空間は打って付けだし。


グルグル見て回ったんだけど地図や歴史書が見付からない。


代わりに月刊誌の女性ファッション誌が目に入った。

こう言うのも置いてあるのね。


勿論、元の世界には無いファッション誌だった。


この秋の流行りかあ。

あっちでは先取り、先取りで研究していた。

流行りを押さえるのは美容業界では常識だし。


ファッションに関しては制服だけは日本的なのに普段着の流行りは海外セレブ系ね。


昼まで図書室で色々と今の流行りを研究してグレースちゃんからの連絡を待った。

お腹空いたわぁ。

グレースちゃんにメールしようっと。

『昼休みに集合?放課後なら御飯食べに行くわよ?』


ちょっと待つとグレースちゃんからごめん!放課後になりそう!と連絡が来た。

全くもう。

確か学食あったわよね?!


行ってみしょー。

学食は1階の図書室の真反対の方角にあった。

広い学院内を歩く。


学校内ウォーキングだけでも痩せそうな広さだわ。


漸く辿り着いた学食はまるで高級レストラン。


でも、ランチはお手頃価格。

お給料貰っているから贅沢出来るけれど普通にAランチにした。


学院内は7割くらい席が埋まっていてなかなか賑わっている。


あの、ピンクの髪は見当たら無いわね。

噂話でも聞けたらと生徒の多い所の近くへ座った。


おっ。文化祭の話してるじゃないの。

あぁ、クラスでも出し物するのね。


この子達は2年生か。


「美男美女コンテストって来年はうちの学年、誰が選ばれるのかしら?」

そんな会話も聞こえた。

どうやら3年生だけが美男美女コンテストはやるみたい。


「私、女子はホワイト先輩だけはパスね。あの人、2年生男子にも色目使っていたわよ?」

「うっそー。それ有り得なーい!」


あらあら。面白そうだわ。

「ねぇ?貴女達、その話本当?」

突然話しかけられた女の子達は一瞬黙ったが。


「聞きたいわぁ。ホワイト先輩ってジュリエットの事よね?そんなに見境なく男引っ掛けてるの?」

何て話を振ると・・・。出る出る。

2年生のお金持ちの御曹司も狙っているみたい。


「じゃあ。女性は誰に投票するの?」

少し悩み出した女子達。


「特に好きな先輩居ないんです。」

「私はケイト先輩かなあ?遠い親戚みたいだし。」

案外、決まっていない。


女子トークに混ざって話を聞きまくって解った事は他学年と交流が無い。

去年はコンテスト会場で生徒を見て決めた。

男性のエントリー者に関してはやっぱり知っている。

人気は分かれていた。


異性の事は皆、気にしているのね。


なるほど。


昼休みが終わるまで2年生女子達から情報収集。


放課後迄、また図書室で待つ事にした。

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