第23話暗躍するわよォ!

「まだ来てませんね?」

ルカ君がジュリエットの姿は見えないと言った。

確かに解り易いピンクヘアーは見当たらない。

お姫様はギリギリ到着して会場を湧かせるって言うのが想像出来てしまう。


「ジャスミン様ですよ。」

「本当ね。見付けるの早いわねぇ。」

ルカ君、目が良いわ。


「ケイトちゃん居たわ。」

私も発見。イケメン見付けるのは早いんだけど。女性はなかなか見付けられないわ。

「あそこジェニファー様ですね。」

役者が揃った。


私と目が合うと彼女達は微笑んで頷いた。

上手く行くかしら・・・。

「ルカ君、婚約者の居ない御曹司君達って解る?」

「婚約者がいらっしゃらない方ですか?えーと。先ずはあの窓際の茶色の髪の方。」

なるほど。ルカ君は何人か教えてくれた。


「アリスさん。何、する気ですか?まさか?狙っているとか!?」

ルカ君があまりにも真剣に聞くので吹き出してしまった。

「違うわよぉ。高校生に興味無いって。」


全く、私がやりたいのはねぇ!って言っているとジュリエットが徐に登場した。

会場の男性達がザワつく。元々の華やかさと可憐さが備わっている彼女は多分、高級では無いドレスを纏っているのにやっぱり綺麗だ。


会場にはエスコート無しで1人で来た。手にはラッピングされたプレゼントを持っている。大きさはA4サイズくらい。噂の絵画だろう。


キョロキョロと明らかにアンディー君を探している様子。

「ちょっと行ってくるわね。」

ルカ君に断りを入れて先程教えて貰ったフリーの御曹司の元へ。


そーっと背後から自然と近付いた。

「今、入って来たピンクの髪の彼女、婚約者居ないんですって。」

誰かと話すかの様に御曹司の後ろで呟いた。

おっ。顔色が変わったわ。嬉しそうでやる気に満ちた感じ。


さあ、次々!

お次の御曹司の背後でも

「あの子、婚約者居ないんですって。名前はジュリエットですってよ。」

噂話の様に囁く。


数人の同年代の子達に情報をこっそり伝えて後は見守り部隊だ。


アンディー君に誕生日プレゼントを渡したジュリエットはその場に居座りたかった様だが・・・。

ケイトちゃんとローガン君が割って入る様に御挨拶に。少しづつアンディー君とグレースちゃんとの距離が開いていく。

その調子よ。

でも、アンディー君はチラ見している。

全く!男って奴は!!


「上手く行きますかね?」

ルカ君が私を見付けて側に来た。

「多分。」

間もなくパーティー開始と言う所で更に会場がザワついた。


「あー。王子達ですね。」

ルカ君が扉の方に視線を送った。


「わーおー。」

見るからに王子!ゴージャスで美しい王子達と2人の婚約者。

年齢的にあの人がアンディー君のお姉さんっぽいわね。美人さんだわ。


「めっちゃ見てるわ。」

ジュリエットの目線は王子達。

狙いは第4王子か。


「ちなみに何で婚約していないの?」

私の居た世界なら居ないのが普通だろうけど。この世界は婚約者居ないお金持ちが少なそうよねぇ。


「第4王子は同じ年齢に元公爵家や元侯爵家の御令嬢がいらっしゃらなかったみたいですね。少し家柄のレベルを下げられたら良かったのに。」

ルカ君はそう言った。なるほどねぇ。


名前はサミュエル王子。

ちなみに第1王子アイザック、第2王子ルーカス、第3王子オスカーだそうで。


王子と婚約者達はアンディー君と談笑している。

隣のグレースちゃんも良い笑顔だわ。


多分、アンディー君の御両親らしき方も王子達へ御挨拶が終わりいよいよパーティーが始まりそう。


こう言うパーティーって初めてだわぁ。

部屋の隅に待機していた楽団の方が演奏を始めた。生演奏のクラシックか。

お洒落ねぇ。


芸能人の誕生日パーティーとかでもこんなの無いわねー。

クラシックの曲が何弾いてるのかイマイチ解らないけれどぉ。綺麗なのは解る。


お酒やノンアルコール?と思われる飲み物が配られて乾杯から開始されるっぽい。

ノンアルコールよね?多分。

私にはシャンパンみたいな飲み物を取った。


御両親の横にアンディー君とグレースちゃんが並び御挨拶。


そしてカンパーイ!

「美味しぃわぁ。」

これお高いシャンパンだ。


その後はいよいよダンスタイムだ。

皆さん解っているのか会場の真ん中が自然と開く。


アンディー君とグレースちゃんの2人が先ずは登場。

そして王子2人と婚約者。

そしてケイトちゃん達が続く。

他に知らない方々が優雅に中央に集まった。


何か社交ダンスの大会見た事あるけどそんな感じでダンスが始まった。


上手いわぁ。これ子供の頃からやってるから踊れるのよねぇ。


ダンスを見ながらジュリエットを探すと・・・。


良し!!煽った御子息の1人が声を掛けていた。その近くにも居る。

いける・・・多分!!


そう祈るばかりだ。


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