第18話誕生日プレゼントって何が良いのー?

数日後。グレースちゃんが学校に行ってからまだ試していない元の世界に戻れるか豪邸公園に向かう事にした。


戻れると良いんだけど。

みんなどうしているかなあ。寂しくなったと言うより少しゲームの情報が欲しいのよね。


残念な事に折角買ったWiFiは初日こそ使えていたが日に日に電波が悪くなっちゃって。

これが使えなくなったら本当に元の世界に戻れなくなるのかもしれない。


そんな気がしている。もう住むと決めたんだけどこの局面を乗り越える助言が欲しいのよぉぉ!!


心を決めて家を出た。

悩んでいる事はアンディー君への誕生日プレゼントだ。

ジュリエットは何をチョイスするのかしら。


ちなみにこの街の名前は第8王子の街エリスパールと言うそうだ。

八王子では無かったのよね。


それはさて置き。


豪邸公園あったぁぁ。良かった。まだ戻れるのね。


急いで電話をミミちゃんにかける。


「もしもし!アリス?!」

「うん。アリス。まだ電話出来たわ。」

ミミちゃん、元気そう。


「本当に大丈夫?帰れなくなったらどうするのよ!」

ブツブツと沢山怒られてしまった。


「でも、見捨てられ無いのよ。ねえ!聞きたいの。相談!相談!」

ミミちゃんを宥めて今の状況を説明した。


「アンディーへの誕生日プレゼントね。待って。攻略対象者によって変わるのよ。アンディーは何だったかしら?1回電話切って良い?調べる。」

了解と電話を切った。


豪邸公園はセレブな日本人の豪邸町にお住まいの方がチラホラと居た。

平和だわ。

本当に不思議よね。何故、私だけ異世界に行けるのかしら?


公園のベンチに座り木漏れ日を浴びてボーッとしていたら電話がかかってきた。


「もしもし。」

「お待たせ。アンディーへのプレゼントはちょっと厄介だわ。」

ミミちゃんの声は溜息混じりだった。


「ジュリエットが描いた水彩画よ。主人公は本当に何でも出来るのよ。適うの?」


「絵なのー?!しかも自分が描いたって。手作り系かとは思っていたけど。そっちか。」

これは無理難題だ。

グレースちゃんに絵の才能なんてあるのかしら?

いや、同じ物にしちゃダメよね。


「ミミちゃーん。プレゼント何が良いと思う?金持ちって何が嬉しいのー?」

「知らないわよー。確かその誕生日イベントの水彩画はめっちゃ上手い設定よ?」

そうよねぇ。


「やっぱり手作りかしら?私、クッキーでも焼いたら勝てるかと思っていたけど安易過ぎるかなあ?」

御令嬢が頑張った手作りってポイント高いんじゃないかなあ。


「ほらぁ。手作りお菓子は好きな子から貰って初めて高ポイントじゃないの!」

「そうなのよねぇ。胃袋掴むといけるとおもってたのにぃ。」

ミミちゃんも男心について語りながらあーでも無いこーでも無いと話す。


「ねぇ。誕生日パーティーでジュリエットはやっぱりアンディー君とダンスするの?」

少し脱線。


「当たり前じゃない。グレースの目の前で堂々とダンスして二人の世界よ。でも、アリスの話聞いてたら何とかして邪魔したくなるわね。」


「でしょう?本当に泥棒猫は成敗したくなるんだって!」

脱線乙女トークが止まらない。


ゲームは各イベントで進むからジュリエットの詳細な気持ちとかまでは解らないそうだ。

アンディー様カッコイイとかローガン様、優しいとかそんな台詞はあるが『好き』と言う台詞はラストの告白まで出てこない。


「主人公は積極的、肉食獣のくせに告白待ちなのよね。」

ミミちゃんの話に思わず吹き出してしまった。

「あはは。本当に肉食獣だし節操ないのよ。あー。本当にプレゼントどうしよう。」

グレースちゃんの思いが伝わる何か。


「ミミちゃんなら何プレゼントする?考えてよー。」

何でも持っているであろうお金持ちの御子息。


「お金持ちと付き合った事無いもん。私ならアンディーに何プレゼントするかなあー。高校生でしょ。」

セレブな高校生。しかも日本人じゃないし。

でも、この世界の文化は日本的。


「本人に聞くかなあ?サプライズなら弁当作るわね!お菓子よりご飯が良くない?」

「あー。高校生の頃ってすぐお腹空いてたわよねぇ。」

うんうん。成長期はお腹空くし。


「って、誕生日プレゼントよ?弁当じゃカッコつかなくなーい?」

ミミちゃんもケラケラ笑いながらそうなのよねーと同意してくれた。


「でもさあ?庶民飯ってのB級グルメ的な感じってウケるかもよ?」

ミミちゃんが男ってそんなもんじゃん?と言う。

果たしてセレブ高校生にそれが通じるのか・・・。


「でも、高校生の頃ってコース料理より焼肉食べ放題が良かったわよねぇ。ラーメンとか?牛丼とか?」

自分達の高校時代は彼等とは明らかに違うけど。

17、8歳の中身って変わらない気もしてきた。


「ちょっとグレースちゃんに話してみるわ。また電話するわ。」

「アリス。本当に大丈夫?無事に卒業後に帰れる事祈ってるからね!」


そう言って電話を切った。

豪邸町にもスーパーあったわね。何か食材買って帰ろうかしら。


水彩画のプレゼントに勝てるプレゼントを考えながらちょっと高級なスーパーマーケットへ足を運んだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る