第2章 知ってしまった

第7話マンションへ帰ろう

「おはようございます。奥様。」

朝食前からメイク開始。

「おはよう。アリスさん。お願いね。」


ベースからメイク出来るのって本当に嬉しい。

若見えメイク開始よぉ!

この後はグレースちゃんと朝からバタバタだけど。

仕事がこれだけで給料貰えるのは有難い。

艶よね。油っぽくは無い艶が若さの秘訣。

かなりベースに力を入れて仕上げ完了!


「可愛いぃー!ねえ!どうでしょう?」

奥様は鏡を見て

「本当だわ!5歳?10歳は誤魔化せるわね!!」

キャーキャーと同じノリで感動してくれた。

ウキウキな奥様の次はグレースちゃんのお部屋へ。


トントン。ノックして。

「はーい。どうぞ!」

着替えてスタンバイしてくれていた。


「さあ!行くわよぉ!スッピンにしか見えないメイク!」

「今日も楽しみー!」

親子揃ってテンションが高い。

女性って美に素直で嬉しいわぁ。


メイクはして無い様に見えるが基本だから奥様の様にキラキラにはしない。

「グレースちゃん、髪型どうする?」

「昨日の感じで良いわ。あれ可愛かった!」

そうかあ。まあ、ヘアアイロンもこの家には無さそうだし色んなアレンジはちょっと難しいのよね。

マンションからヘア道具も持ってこよう。

そう思いながら今日はハーフアップにした。

「何か後ろが凝ってるのね!」

鏡を見せると嬉しそう。


本日のノルマ達成!!


朝食を食べてから荷物を取りに家に帰ると奥様とグレースちゃんには告げた。


持って来ないといけない物が沢山だわ。

7泊用キャリーで足りるかしら。


ご主人、奥様、グレースちゃんを見送ってから私も出た。


それにしても。外は本当に豪邸町にそっくり。

閑静な住宅街だ。ただ、良く表札を見ていくと・・。

外国の方の名字しか無いのに気付いた。

そう言う町なのかしら?

知らなかっただけでそう言うのもあるわよね。日本に住んでる外国人多いし。


スマホの電波が入る公園辺り行くと一斉にメール等が入った。

オネエやゲイ仲間とかからだ。

ポチポチ返信を打ちながら歩く。歩きスマホは本当はダメよ。


うーん?横目で公園を見るが。やっぱりこの公園は豪邸公園に見える。

疑問だらけだが!!兎に角、着替えたい!2日も同じ服着たく無い!


臭くないわよね?本当に気になって仕方ない。

少し歩いて通っていたタクシーを止めて乗った。


「すみませーん。二丁目町のコンビニまでお願いしまーす。」

「はい。お客さん。タレントさん?」

知名度万歳。今回もうふふーと御挨拶して誤魔化した。


昨日は良く寝たつもりで居たけれどいつの間にか居眠りしていて運転手さんに起こされた。

「着きましたよー。お疲れですねぇ。」

「あっ。はい。すみません。ありがとうございます。」

慌ててお金を払ってタクシーを降りた。


やっぱり昨日も居眠りしてたのかもね。

テレビに出る様になってタクシーを家の前で降りれないってのが少し面倒。

バレても良いけどバレないに越したことはない。


コンビニから少し歩いた所に住んでいる1LDKのマンションがある。


昨日ぶりだけどやっぱり我が家は落ち着く。


午後から帰宅したり仕事も出来るなら1週間分の着替えで良いかもね。

お気に入りのスーツ。普段着。パジャマに下着。靴は何足も要らないか。

それよりもメイク道具とヘア道具ね。


試行錯誤しながらキャリーケースに詰め込んだ。


「こんなもんかしらね。」

かなり重いけど。ゴロゴロしていけば良いか。

その時スマホが鳴った。


「はーい。アリスでーす。」

長年のゲイ友だ。

「え?ランチ?行くぅー!ミミちゃんとゲンちゃんも来るのね。OK。」

調度お腹も減ってきた時間だったのでお誘いが嬉しい。

ランチは二丁目町のお洒落なカフェだ。

荷物は。置いて行きましょ。

こんなのゴロゴロして行ったらびっくりされそ。


お気に入りの服に着替えてマンションを出た。


電話の主のアユム君とゲンちゃんはゲイ友。ミミちゃんはオネエ友だ。

年は近くてみんな20代後半で仲良し。

恋愛関係にはならない仲間。

要するに全員ネコ。女役って事ね。


カフェに着くとアユム君とミミちゃんが早速座っていた。

「お待たせぇー。お久しぃー!」

4人集合は1ヶ月ぶりくらい。


「アリス。おひさァ。」

「最近、忙しそうじゃん?」

うんうん。2人とも相変わらず可愛い。

私が席に座ると2人は何やらスマホゲームをやっていた。


「何?ゲーム?」

私はスマホゲームはあまりやらないのよね。


「そうそう。乙女ゲームにハマっているのよ!ゲンちゃんもやってるわよ。」

ミミちゃんが嬉しそうにトップ画面を見せてくれた。


「へー。ゲンちゃんも?流行ってるの?」

知らなかったなあ。

「乙女ゲームって楽しいんだよ。イケメン攻略出来るし!」

アユム君は嬉しそうにそう言った。

なるほどねぇ。


「お待たせ!ごめん。僕が1番最後だね。」

ゲンちゃん到着。


「私もさっき来た所よ。2人ともゲームに夢中なのよぉ。ゲンちゃんもでしょ?」

何か私だけ仲間外れっぽいから私も始めようかしら。


「あー。僕もハマってるんだよね。これこれ。」

見せてくれた画面には

『TRUE☆ジュリエットの恋物語』

と書いてあった。

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