ひとづきあい論

紅亜真探

一生懸命になってしまうひとへ。

 むかし、我が小説のキャラクターにこうたずねさせたことがある。


 ねえ、Aくん。

 友だちとはなんだろうね。


 それときかれたキャラクターはこう言った。


 わたしにきかれても困りますよ。


 そしてさらに別の機会に、そのたずねたほうのキャラクターはこう言った。


 なんでも話せるのが友だちだと思ってないかい。

 なんにも話さなくていいのが友だちなんだよ。



    * * *



 あなたはひとりじゃないなどという言葉を、まあ、さまざまな場面で耳にするが、正確に言うと『みんなひとり』なのではないか。


 たとえば自分は一本の木なのだ。

 そのすぐとなり、もたれかかるほど近くに、大きな別の木があったとしたら。

 おそらく自分はたおれてしまうだろう。

 栄養も日光も足りなくて。

 しかし、これが、とある森の中の一本だとしたらどうだろう。

 他の木とは適当な距離がひらいていて、それらの木や自分自身の落ち葉が、森全体を育てる腐葉土になっている。

 木の一本一本は独立して『ひとり』だが、ひとりだからこそおびやかされもしないし、結果的に協力して生きていけるというわけだ。 


 ようするにホドホドがいいということである。

 お互いのつきあいにかける熱はホドホドがよい。

 

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ひとづきあい論 紅亜真探 @masaguri

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