第64話

「ええっ!? 駄目ですよ。お部屋でゴロゴローってしていたら、お目目さんもスヤスヤーってなりますよ?」


 むっ!

僕とお目目さんのワクワクはそんな事ではなくならないのです!

 ぴょん太は僕達の気持ちを、そんな軽いものだと思っているのですねっ!


「行くでしゅっ!」


 ふんむっ!

気合いを声に込めました!


「そーうですかー。仕方ないですねー。私はちゃんと止めたんですー。

 でも、ユーリ様の想いがー、遥かーに強くてー、私では到底止められませんー。

 ですから……、私も一緒に探検しますねっ!」


 ……?

なんかぴょん太、ちょっと変です?

いつもそんな、間延びしたお話し方しないです。

それに声に抑揚?がないね、と記憶さんも言ってます。

 あっ!

記憶さんも探検したかったよって言ってます。

ごめんなさいです、僕、気付かなかったです……。

 更なる記憶の補完にも、現状確認が……。それは則ち僕の為……。と、なんか長いおしゃべりしてます。

 あううっ……。ごめんなさいですぅ……。

僕、ちょっぴりしょんぼりです……。


「ユーリ様……?」


 はうっ!?

しょんぼりしてる場合じゃなかったですね!

ここは、可及的速やかに行動しなければいけないのです!

 改めて、僕と記憶さんとお目目さんの三人で探検に行くのですよ!


むふーっ!


「ユーリ様! 私が入ってないですよ! 四人です! 四人で探検ですよっ!」


 ほえっ?

僕、お口に出してました?


「ふふふっ。さぁ、静かに移動しましょうね。何せ殆どのモノが寝静まってますからね?」


 ……?

よく分かりませんが、ぴょん太も結局は一緒という事ですね?

 なら、早速お家探検ーっ!の前に、ベッドからゆっくりと降りますっ!

大きな音がすると、誰か気付いちゃうから、ゆっくりと、です!

そろり、そろりってやつです。


「うんちょ、うんちょ」


 お声をちっちゃくして、でもスピーディーに降ります!

記憶さんも何時もより降りるスピードが、1.25倍速いって言ってます!


「ユーリ様、もう少しです! 頑張ってくださいっ!」


 ぴょん太も、ちっちゃなお声で応援してくれています。

任せるですよっ!

 ふんぬ、ふんぬっ……!


「第一のかんもん、とっぱ、でしゅっ!」


 シュタッ!と、ベッドから華麗に降りれましたっ!

華麗とは……?って記憶さんが不思議がってますが、華麗、ですよね?


「華麗です! 華麗ですよ! ユーリ様!」


 ぴょん太も華麗って言ってるから間違いないです。

うむうむ。


「それではどちらに参りますか?」

「んゆ?」


 どちらとはどこですか?


「お家探検、ですよね? どちらに行かれますか?」


 ふえっ?

うー……。

 もしかしたら、ぴょん太と僕の考えには相違があるのかもしれません。

記憶さんも、ちゃんと説明した方がいいよーって言ってます。

お目目さんも、パチパチとして同意を示しております。

やはりですか、うむうむ。

 円滑に進める為には、説明は必須ですね!


「ぴょん太。説明しゅりゅでしゅ」

「はい?」

「僕がおうちたんけんちたかったのは、僕がこのおうちの事をあんまり知らないからでしゅ。

 僕が知ってるのは、僕のおへやとご飯食べるところと、くんれんするところと、お庭とろうかとかいだんでしゅ」

「はい」

「このおうちかなり大きいでしゅよね? 僕、もっといろんなおへやが見たいのでしゅ!

 だからおうちたんけんなのでしゅよ!」


 ふんむっ、ふんむっ!


「ああ……。えっと、分かりました?」

「分かりまちたかっ!」


 うむうむ。

やっぱり説明は大事なのです。

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