第46話

 僕は今、にい様とねえ様がいる訓練場に向かってます。

──抱っこされて。


 むぅ……。

僕、歩けるって言ったのに、場所が遠くてお稽古の時間に間に合わないからダメだって言われたのです。

 確かに僕、みんなより歩くのお時間かかります……。

仕方ないとは思いますが、しょぼんとなっちゃいます……。


「ユールリウス坊っちゃま、どうされましたか?

 もしかして俺の抱っこの仕方に問題でも……?」


 何時もはエリーナが僕を抱っこしてくれるのですが、今日はぴょん太と一緒にお勉強だってマティアスが言ってたので、エリーナの代わりにカショウが抱っこしてくれています。


「大丈夫でしゅ。エリーナよりじょうじゅでしゅよ!

 それにカチョ、ありゅくの早いでしゅね」


 そうなんです!

 エリーナより大きいからか安定感があるしそれに、見える景色がサーって流れてるんです!

 僕が歩く時はゆっくり見えて、エリーナがそれよりもスーッて感じで見えますが、更にカショウの歩くスピードが早いからか、サーって感じで見えるんです!

 ちょっと、ふぉー!ってはしゃぎそうになっちゃいましたが、それは秘密なのです。

うむうむ。


「坊っちゃまが楽しみにしてますからねー。気合い入れて歩いてますよ!」

「ふおっ!?

 ありがとでしゅ!」


 カショウは僕の為に早く歩いてくれてたんですね!

僕、嬉しいです!


「やっべ……。坊っちゃまの上目遣いからの満面の笑顔……。

 破壊力がハンパねぇ……。

 エリーナさんはいつもこんな坊っちゃまの可愛らしい笑顔を見ているのか……。

 マジで羨ましい……。あー……。

 エリーナさん、ずっとマティアス様にしぼられててくれねえかな……」

「う?」


 カショウが小さい声で何かブツブツ言ってますが、僕にはよく聞こえなかったです。

でも、なんとなくエリーナのお名前がちょっと聞こえた気がします。


「カチョ、エリーナなんです?」

「えっ!?

 いやいやいや! 何でもないですよ!

 それよりも、もう少しで着きますからねー!

 坊っちゃまの楽しみの為に、ギア上げて行きますからねー! ギュッて抱きついていてくださいねー!」

「わかったでしゅ!

 ギュッ! ちましゅ!」


 更に速くなるとか、カショウ凄いです!

 僕はニッコリと笑うと、カショウに言われた通りギュッ!と抱きつきました。

僕の全力の抱きつきに、もしかしたらカショウが痛がるかもしれませんので、その時はちょっと力を緩めようと思います!

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