第44話

 むうっ……。

僕はご機嫌ななめなのです。

 だって、あとちょっとでドラゴン倒せたのです。

かあ様の持ってたカッコイイ武器と魔術を使って、ビュンビュンドバーンッ!て、やってたのです。

でも、マティアスが僕を起こしたから、ドラゴンを倒す前に全部消えちゃったのです……。


「ぶぅー……」

「ユールリウス坊っちゃま。一度起こされたのなら、ちゃんと起きないといけません」

「僕知らないでしゅ。おはよーごじゃましゅしてないでしゅ!」

「……ふぅ。エリーナ。これは貴女が悪いですね」

「えっ!? 私はちゃんと起こしましたが、ピョンタが邪魔をっ……!」

『なんだと、小娘っ!』

「エリーナ」

「すみませんっ!」

「ピョンタ殿も、エリーナの邪魔は極力しないで下さい」

『我が邪魔など……』

「よろしいですね?」

『うぐぐぐぐ……。ただの人如きが我に……』

「よろしいですね?

 さて、ユールリウス坊っちゃま。朝食の後ですが、如何致しますか?」

「お庭でぴょん太とあしょぶでしゅよ」

「昨日お話し致しましたが、お外に出るのは暫く禁止となっておりますよ」


 あうう……。

そうでした。

とう様とかあ様の許可?がないとダメって言ってました。

意地悪な人がいないか調べるって。


「いじわるな人、しゅぐ見つかりゅでしゅか?」

「そうですね……。なるべく早く調べる様に致しますので、少しの間、我慢して頂けますか?」

「うぅー……。

 分かったでしゅ……。ありしゃんとのおやくちょく、ちょと待ってもりゃいましゅ!

 だからマティアス、僕のかわりにありしゃんにごめんちゃとちゅたえてくだしゃい」

「かしこまりました。御宅への訪問はお待ちいただく様にお伝えしておきます」


 マティアスにありさんへの伝言をお願いしましたが、お外に出れるようになったら、僕からもありさんへごめんなさいと言わないとですね。

 悪いと思った時には、せいいを示さなければいけませんからね。

うむうむ。


 むー……。

でも、困ったです。

 しばらくお外に出られないなら、許可?が出るまでお家の中で遊ばなくちゃいけません。

でも、毎日お部屋はつまんないです。

 ぴょん太とお話しできるようになって、お外で遊ぼうと思ってたのにがっかりです。

ぴょん太も絶対がっかりしてます。

それにうさぎさんだから、お部屋の中ばかりだとかいほうかん?っていうのがないと思うのです。

でも、お外に出られないです。

 僕、困りました……。

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