山の子
雨世界
1 みんなどこにいるの?
山の子
登場人物
森田椿 つばき 元気な少女 スニーカー スポーツウェア
内田楓 かえで 控えめな少女 学校指定の靴 学校の制服
藤野薫 かおる 先生 二人の中学校の担任の先生
もう一人の藤野薫 かおる しゃべる黒い猫 森で椿が出会う 先生と同じ名前とそっくりな声をしている
プロローグ
……大切な人を、探している。
君に誤りたんだ。
ちゃんと目と目を見て、謝ってさ、君と仲直りがしたんだよ。
私はね。(あなたは、……どうかな?)
本編
舞台 その一
森と川と星
みんなどこにいるの?
君が行方不明になった日。私の前からいなくなった日。
……その日は、土砂降りの雨になった。
「綺麗な星」
森田椿は思わずとても美しい星空を見上げてそんな言葉を言った。ずっと山奥にある星の綺麗な田舎の町で暮らしてきた椿から見ても、その日の夜空の星の美しさは特別なものだった。(思わず、感動して足を止めた椿は、泣きそうになってしまったくらいだった)
「よっと」
少しの休憩のあと、そう言って、椿は雨に濡れている森の中の大地の上にある折れた木の幹を飛び越えると、そのまま、また軽快な足取りで、真っ暗な森の中を歩き続けている。
真っ暗だけど、美しい星の光が、椿にかろうじて森の中を歩く視界を確保してくれている。(そもそも、とても目が良くて夜目もきく椿は、星が出ていなかったとしても、夜の森の中を歩く自信はあったのだけど)
椿は上下とも真っ白な色をしたスポーツウェアをきている。上は長袖で、下はハーフパンツのスポーツウェアだ。足元は白い靴下に、やっぱり真っ白なランニング用の大きめのスニーカーを履いている。両手にはなにも荷物を持っていないけれど、その背中には小さなリュックサックを背負っていた。(その中には、水や食料。スマートフォンやタオル。うさぎの模様が描かれている財布。着替えなどが入っていた)右の手首には白いスポーツ用の腕時計をつけている。
時間を確認しようとして、腕時計のバックライトを光らせて文字盤を確認してみると、時刻は真夜中の十二時を指している。でも、実際の今現在の時間はわからない。なぜなら、その椿のお気に入りの腕時計は、森の中を歩いている途中で、その動きを止めてしまったからだった。(どうやら、バックライトは光るのだけど、なぜか針を動かす電池がなくなってしまったみたいだった。ついてない)
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