Soupe au bouillon

環流 虹向

第1話 噂に誘われる

私たちの街にだれも近づかない館がある。


そこには昔魔女が住んでおり、

その魔女がお気に入りの人間を見つけると

その人は消えてしまうという。


だから誰も館から見える通りはなるべく通らない、家を建てない、なるべく関わらないようにしている。


しかし、この70年誰も消えることがなく、

魔女が引っ越したのか、死んでしまったのか、

この世にはもう居なくなったという噂が流れ始めた。


その噂が私たちの学校に出回ると、

小中一緒の腐れ縁でなんだかんだ仲がいい

朝輝(あさひ)が声をかけてきた。


「なあなぁ、沙理奈(さりな)あれ聞いたか!?」


「聞いたよー。魔女の館でしょ。

今日これで5回目なんだけど。」


「なんだよ。つまんな。」


「今日はその噂で持ちきりだよ。」


「茉莉奈(まりな)は3回目 笑 」


私の親友、茉莉奈。

茉莉奈も小中同じ学校で、

楽しい時も、悩んで苦しんでいた時もたくさん話を聞いてくれてアドバイスしてくれた。

本当に大好き♡


今日も放課後教室で茉莉奈と

だらだら話していた所に朝輝が入ってきた。


「なあなあ、いってみねぇか?」


「ん?どこに?」


「魔女の館に決まってんじゃん。」


「やだやだやだ!茉莉奈怖いの嫌いだもん。」


「私も行きたくない。」


「えー、つまんねぇこと言うなよ。」


「何誘ってるの?」


朝輝の後ろから優大(ゆうだい)が話しかけてきた。

優大は高校入って朝輝から紹介されて以来よく遊んでい。


「朝輝くんが魔女の館に行こうってー。」


「あぁ!今日学校ですごい噂なってた館か!

俺も興味あるんだよね。」


「じゃあ、俺たち2人でいこうぜー。」


「えっ!待って待って、茉莉奈も行く!」


「えっ?茉莉奈いくの?」


「うん!朝輝くんだけだと心細いけど優大くん来てくれるなら行こうかなって♡」


茉莉奈は優大くんに恋している。

恋するとズブズブにハマってしまうタイプなので

好きな人が行く場所ならどこへでも行ってしまう。

ちょっと厄介だけど、そんな所も可愛いと思っている。


「「「沙理奈はどうするの?」」」


「…お昼だったらいいよ。」


「「「٩( ᐛ )イエーイ!( ᐖ )۶」」」


こんな断れるわけが無い。

まあ4人だし夜じゃないから大丈夫でしょ。



この判断が甘かった。

恐ろしい場所は昼でも夜でも関係ない。

ひっそりといつでも侵入者を待っている。


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