お姉ちゃんあらわる!
「ハーイ海香! お久しぶりね! 私がお姉ちゃんよ!」
「そ、そりゃ、お姉ちゃんはお姉ちゃんだけど……ひさしびる……」
ちょっと噛んじゃいましたが、この人がわたしのお姉ちゃんです。
「元気にしてた? お腹減ってない? 大丈夫?」
「う、うん……」
じつは、今日もわたしは腹ペコです。お姉ちゃんからうちに来るって連絡あったの、昨日ですからね。慌ててお掃除を始めたのですが、なかなか捗らなくて、今日はわたし、朝ごはん食べてないんです。
「お姉ちゃん。今日、お姉ちゃんの婚約者さんも来るんだよね? あっそうだった、改めまして、お姉ちゃん婚約おめでとう」
「ええ! ありがとう、海香! そうなのよーうふふ。お姉ちゃんね、結婚しちゃうのー。すごいでしょう?」
「う、うん。びっくりした」
「うふふふふふ……」
「いたっ! たっ! 痛いよ!」
お姉ちゃんは嬉しさ隠しにわたしをバンバン叩いてきます。隠せてませんよ! 痛いですって!
あと、そう、婚約者さんもうちに来るって言うから、わたしはお掃除頑張っちゃったのでした。
「涼太郎は今ね、車でこっちに向かってる最中よ。って、昨日も私、言ったわよね? 着くのは1時くらいになるから、私たちはお昼ごはんは勝手に済ませててーって」
「勝手に、って……というか、涼太郎さん、って言うんだね、婚約者さん」
「そうよ! よくぞ訊いてくれました! その名も三上涼太郎! かっこいいでしょう?」
「う、うん、うん……」
お姉ちゃんはいつもこんな感じです。こんなノリで喋ります。あと、身内びいきかもしれないですけど、かなりの美人だと思います。姉妹なのに似てないねってよく言われます。それに身長も胸もあって、そこもわたしと全然似てないです。なのに、二人ともよく、残念だねって言われます。残念姉妹って言われます。なんでですか!
「……でもお姉ちゃん。涼太郎さんはお昼ごはんはどうするの?」
「さあ?」
「えっ」
「どうするのかしらね? 知らないわ。どうするの?」
「えっえっ。そんな訊かれても」
「まあいいわ。さ、とにかくさっそく始めましょう! 私も海香みたいな料理上手にならなきゃなんだもの! えー本日は、大道寺海香先生にお越しいただきました。先生、どうぞよろしくお願いします!」
「あ、うん、そうだね……じゃあお姉ちゃん、まず手を洗って」
「ガーン! そうでした!」
「あと、髪も縛ってね」
「ガーン! そうでした!」
お姉ちゃんはいつもこんな感じです。
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