自由意思、毅然と

あの店の炒飯と来たらない

知らなきゃよかったあの旨さ

すべての快楽の面目が丸潰れ


香ばしさで頭が変になる

お米が踊る、サンバのリズムと思いあたって咀嚼が進む

ジャストなパラパラ、羽衣か、私は羽衣を喰らっているのか?

香味野菜のシャキシャキが嗚咽すら呼び起こす

採れ立てか? 採れ立てなのか? 店の裏で採れたというのか?


止まらぬ涙を、むせて誤魔化し、お冷やを嚥下

「どうしたんだい?」

「いえ、ただ、むせてしまって」

「急に悲しくなってしまったんだね」


油で汚れたカウンター、落ちる涙を浮き彫りにする

「はい、もう、どうしたらいいか」

「よかったら、おかわりなんてどうだろう」

「はい、是非、心から願います」


「新メニューの肉炒飯」

店主の言葉が、頭の中をサイケデリックに彩っていく

それは肉であり炒飯でもある、それは肉であるばかりでなく炒飯でもある

肉と炒飯 肉炒飯

目が回り、ろれつ回らず呟くは、とろけた舌の自由意思

「にく、ちゃーはん、しこたまくって、はいになりたい」

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