まったき青

山林の中、孤独に佇む藤の樹の

花咲く薄青、ぶどうの房の水彩画


野焼きの煙は、無風の後先知らしめて

雲に届かず霧散する


結びの神様、固結び

縦か横かはど忘れし

せせらぎ纏って、やまびこを嚥下する


青と紫が啄み合うのを

野いちごたちが囃し立て

赤、真っ赤、真っ赤っ赤

肉食獣と草食獣は

見詰め合うことすらままならない


森林浴の半身浴

神経毒に酔う内に

半神の囁きが首筋を這う


多彩な緑は艶かしく葉先を揺らす

手前の葉枝が、向こうの山肌を愛撫する


見知らぬ風、川の分断が、愛を真っ青に燃え上がらせる


虫の血みたいに真っ青なワインを口に含み

新鮮な空気を胸一杯に吸い込もう

そしたらさ、青色が脳天まで突き抜けていくよ


鳳仙花は断末魔を上げた試しがない

愛の追憶、その産声にどれだけ関与した?

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