度を越した

内陸の山頂に建つ一軒家

堅牢堅固な屋根瓦

無意味な塩害対策、度を越したるは

誰の目にも明らかで

麓の人々は口には出さぬが

日夜心根戦慄、畏怖さえ芽生え


切り刻まれた竹藪の

その断面の、なんと穢らわしいこと

家主の老人、深夜の森で一人呟く


息切れは肺胞の死滅に立脚し

滑落は、高所とその身の

手打ち手切れが夢のあと


水は低きに流るる

分水嶺に立ち

るると手首を切り

るると割腹し

るると首を断つ


手刀で物は切れぬとて

しかして死に怯え

流れた涙はなんとする


北には手首のるるが流るる

東には腹のるるが流るる

西には首のるるが流るる


南には、生暖かい潮風が吹き下ろした

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