合鍵

閉じ込められた琥珀色の魂は

血肉を求めて土を貪る

灰色と乳白色の約束を

烈火の口づけが反故にする

要の留め具を堀当てるには

藪の中で躍り狂え

愛の賛歌に呪いを込めて

ブナのナラ枯れ引き起こせ

釘穴に溜まった赤錆は

愛の証の送り花


合鍵をお持ちじゃありませんか

大家さんは痴呆みたい


藁を喰む沢山の人型の影

盆踊りはワルツのリズム

たたらを踏んで潰したはずの

虫けらが何処にも見当たらない

沈丁花の残り香だけが立ち上る

持ち場を離れたはずの誰かと

心通じたのは十六夜の悪戯

杏露酒と腐った杏

愛に盲たのはどちらだろう

ただ心だけが綻んでいく


合鍵をお持ちじゃありませんか

大家さんは亡くなったみたい

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