信州の新酒もちかしそばの花

【読み】

 しんしうのしんしゆもちかしそばのはな


【季語】

 新酒・そばの花(蕎麦の花)〈秋〉


【大意】

 そばの花が咲けば信州の新酒の時期も近い。


【附記】

「信州信濃の新蕎麦よりもあたしやあなたのそばがいい」(作者不詳)という都々逸をもじった。


【例歌】

 蕎麦の花しらじら咲けり山裾の朝日のささぬ斜面の畑に 木下きのした利玄りげん


【例句】

 湯女ゆな臭き有馬の里の新酒かな 許六きょりく

 風に名のついて吹くより新酒かな 園女そのめ

 涼風や新酒をおもふ蔵の窓 支考しこう

 新酒や秋風渡る蔵の隅 酒堂しゃどう

 鬼貫おにつらや新酒の中の貧に処ス 蕪村

 聟入むこいりに樽提て来る新酒かな 几董きとう

 蔵明けて旅人入るる新酒かな 月居げっきょ

 八兵衛が破顔微笑やことし酒 一茶

 新酒や青葉そへたるさかばやし 呂風

 新酒売る茶店ならぶや二三軒 寺田寅彦

 霊前のさかきにそそぐ新酒哉 同


 蕎麦はまだ花でもてなす山路やまぢかな 芭蕉

 故郷や酒はあしくとそばの花 蕪村

 痩山にぱつと咲けりそばの花 一茶

 藪陰や濡れて立つ鳥蕎麦の花 夏目漱石

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