第23話
そうして俺は全てを彼女に話した、ひどく長い、そしてつまらない話だったはずだ。しかしそんな素振りを一度も見せることもなく彼女は俺の話を聞き続けてくれた。そして「あなたは優しいのね」と言うと彼女はニコリと笑った。そんな優しい笑顔に対し俺は「優しくなんかないよ、だってこうやってみんなに嫉妬して…誰も悪くないのに憎んでいる… それに…」「あなたの話ではあなたは優しくないのよね。じゃあどうして悩んでいるの?」俺はいつも彼女のこうやって慰められる、でも何だか彼女の言うことには説得力があった。俺は情けないと困ったように笑うと彼女は「それに私は優しくない人を好きになったりはしないわ」と美しく笑った。本当に俺にはもったいない。しかし不可解な点があった。なぜ彼女は俺にだけ心を開いたのか。いいや、どうして彼女は周りとの壁を作ってしまったのか。彼女が単純に友達がいないという可能性はないわけではないが、俺をこんなに想って大切にしてくれる彼女の性格からしてそれはないだろう。だが聞くのは野暮だと抑えて来たが出会ってかなりの時間が経った。そろそろ聞いても良い頃だろう。それに俺も彼女を救ってやりたい。例え解決にならなかったとしても、一緒に背負ってやりたい。それほど彼女に、凛に借りがあったからだ。だから俺は口を開いた「…俺は助けてばっかで情けないからさ、ほら、だってまた君」「あっれ?天下のクソビッチ凛ちゃんじゃなーい」俺の言葉を遮って5人の男女が彼女に迫る。なんだこいつら俺の女神のことビッチとか言いやがったな、ブーメランの角に頭打って○ね。そんなことより俺が誰なのかと彼女を見ると彼女は辛そうに俯いていた。それを見るや否や、俺はすることを決めた。
やっと糸が見えた。
今度は俺が彼女を救うんだ。
この時俺は、何もわかっていなかった。もしも、以前から知っていたのなら。
恐らく、いや確実に俺は
彼女のこの問題に首を突っ込もうなんて、解決しようなんて。思わなかった。
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