第5話

少し変わった美女、東条と別れて家に帰ると父親と母親がいた。「あれ?兄貴は?」と聞くと「さぁ?またどこかに行ったっきり帰ってこないわ」と母は言った。そういえば家に親がいるって当たり前のことだけど良いよな。そういえば昔は両親共働きで家には俺1人だったっけ。でもそれっていつまでだ??いつ両親は仕事に余裕ができて俺が家に帰る頃には家に帰れるようになったんだ。いや待て、何かおかしい。と突然目の前がぐらぐらと不快に揺れているような気がしてそこで俺は気を失うように眠った。目が覚めるとそこは教室でどうやら俺は机の上で突っ伏して寝ていたらしい。すると横には「やっと起きた。授業終わったわよ」と呆れたようにどこぞの美女に言われた。変な夢だったな…とだるそうに起き上がると彼女は「あなたかなりうなされてたけど大丈夫?」とそう言うと彼女が俺を心配してくれていることに気づいて俺はなんだか嬉しくなった。というか俺、毎日授業受けてるはずなのになんで記憶がないんだろう…と考えていると「それはあなたが毎回寝ているからよ。」と言われた。どうやら声が漏れてしまっていたらしい。俺よく進級できるな…天才なのかも知れない…ふふふと不気味な声を出していると彼女はそれを払うように本をパタンと閉じて「あなたって変ってる…」と溜息まじりにそう言われた。「どうも」と笑うと褒めてないと怒られてしまった。なんだかカップルみたいで最高だなこの瞬間…ずっと続けば良いのにと、そう思った。「それで今日も行くの??」と聞かれ1秒として考えずに「当然だよ、日課みたいなもんだから」と答えた。「でも意外だなぁ昨日初めて行ったばかりなのにそんなに気に入ってくれたんだ。」と笑うと彼女は不思議そうに「なに言ってるの?行った回数なんてもう指では数えきれないわよ。」と言われた。俺は「確かにそうだね。ごめん」とあの喫茶店へと向かった。

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