第21話 極上のカブ

 翌朝、小屋に訪れるとそこには魔物の姿があった。

 犬属のウルフ、猪族のボアがそれぞれ二頭ずつだ。


 [ 名 前 ] ウルフ

 [ レベル ] 5

 [ 魔 力 ] 20

 [ 攻撃力 ] 60

 [ 防御力 ] 30

 [ 持久力 ] 60

 [ 俊敏力 ] 70



 [ 名 前 ] ボア

 [ レベル ] 4

 [ 魔 力 ] 15

 [ 攻撃力 ] 50

 [ 防御力 ] 50

 [ 持久力 ] 30

 [ 俊敏力 ] 30



 床には、畑で収穫したカブを置いていたが、それは既に魔物達が食べたようだ。


 よしよし、早速魔物が仲間になってくれたようだな。

 わずか1日で魔物が此処へ訪れたのは訳がある。

 それは、ここに置いてあった農作物のカブだ。


 野菜を育てるとき、土に含まれる栄養がかなり大事になってくる。

 その栄養の中でも大事なのは、地の魔素だ。


 魔素とは、万物に含まれている魔力を帯びた粒子のことだ。

 大気中にも存在するし、今回のように土にも含まれている。


 農作物は地の魔素から魔力を吸収することで品質が上昇する。


 収穫後も短時間ならば、低効率だが魔力を吸収させることが出来る。


 昨日ここに置いていたカブは俺の魔力を吸収させたものだ。



 =================================

【鑑定結構】

(魔力吸収前)

 [カブ]《品質:低》


(魔力吸収後)

 [カブ]《品質:極上》 

 =================================



 これだけ品質を上げるのに結構魔力を消費したので、全然実用的ではない。

 極上まで持っていくのにカブ1個につき、1000ほど魔力が無いと極上には出来ない。

 それを5個作るとなると、かなりの魔力を使わなければならない。



 まぁ……つまり、極上品質のカブにこいつらは食いついたというわけだ。




「すげぇ……本当にいるよ……」


「こ、この魔物達って襲って来たりしませんよね……?」


 ラウルは驚き、サーニャは怯えていた。


「大丈夫。襲ってくることは無いと思うよ。仮に襲って来たとしてもちゃんと守るから安心して」


「は、はい。ありがとうございます」


 サーニャはなんとか安心してくれたようだ。


「……なでなで」


 ソニアはウルフに近づいて頭を撫でていた。


「お、お姉ちゃん⁉︎ 近付いたら危ないよ⁉︎」


 その声でウルフは目を覚ました。


「うおっ⁉︎ こりゃちょっとまずいんじゃねーか⁉︎」


「お姉ちゃんっ⁉︎」


 ラウルとサーニャは焦って、ソニアを助けようとした。

 ……だが、ウルフはソニアを襲うどころかお腹を見せて仰向けになった。


「……うん、いいこ」


 ソニアはウルフのお腹を撫でて、微笑んだ。


「お、おぉ……こりゃ本当に大丈夫みてーだな……」


「そうみたいですね……」


「ああ、これで畑が荒らされることは無いと思うよ」


「はははっ、こうも見事に解決しちまうとは流石アルマだな。でも、この魔物どうするんだ?」


「魔物には農作業や開拓作業を手伝ってもらうよ」


「なるほど、そうだよなぁ…………って、え? そんなこと出来るのか……?」


「もちろん。領地の発展には労働力が必要不可欠だ。しかし、人口が少ない状態では労働力の確保も中々難しい。だから魔物に手伝ってもらうんだ」

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