第4話 老騎士と寂れた村とゾンビと


 

【ルーレシア村】

 山脈に囲まれた所に位置しており、その南端の麓に広がる森林で取れる森の恵みと農業で村民たちは生計を立てており、人口は90人ほどのエルメシア協和国の辺境にあるロドス・ドマルク・ルチェスク伯爵領の小さな村である


 村長の家は村に入って直ぐのところにあり、イーサン達は2人を助けたお礼にしばらくの間、食事と部屋を提供してくれるそうだ。


 それにしてものどかというかまるで時が止まったような何もない静かな場所じゃな


 夕方、ヨハンとイーサンは村長の家に招かれ食事をともにした。テーブルに出されたのは溶けたチーズを乗せたライ麦パンとジャガイモ、玉ねぎ、ニンジン、あとはこの近くの森で取れたキノコ類が入ったシンプルな野菜スープであった。しかしこの野菜スープなのだが素材の甘味がしっかり出ていてとても美味しいのでヨハンは2度もおかわりを頼んだ。






 夜、皆が寝静まった頃、ヨハンは眠れずにいた。外から物音がしたのでそっと窓を開けてみると村の少女が何者かに襲われているのが見えた。ヨハンは急いで剣を構え、音を立てずにソーッと出てみると気配を察知されたのか土の中からボコボコと屍腐鬼ゾンビが這い出て来た。


「なんじゃさっきの少女はコレに襲われておったのか? 気持ち悪いのう」


 ヨハンにとって屍腐鬼ゾンビは不気味な存在だった。それは人姿をしてはいるが髪の毛は抜け落ち、眼球は落ちかけ、肌は溶けていた。

 何よりその何とも言えない臭いが強烈だった。

 まとわりつく小蝿を払い除けながらヨハンは屍腐鬼ゾンビ供の脳天に突き刺す、突き刺す突き刺す、突き刺す、突き刺す、突き刺すーっ!


 ヨハンが気付いた頃には80匹ほどの屍腐鬼ゾンビをすでに倒していた。しかし屍腐鬼ゾンビどもは次々とコチラに迫って来る。


炎弾魔法ファイアボール


 どこからともなく飛んで来た炎により、屍腐鬼ゾンビどもは全身が燃えつき、一瞬で消滅した。ヨハンのいる反対側でボミエとピックルが屍腐鬼ゾンビと戦っていた。


「ボミエすごいよ」


「こんなの大した事ないニャ」


「よし、じゃアタシも行くぞオラアァァッ!」


 ピックルは鋼鉄のメイスをブンブン振り回して屍腐鬼ゾンビどもの、脳天をガンガン潰して回った。


 ようやくイーサン達が目を覚まして部屋から出て来た。


「自分もお手伝いしてさしあげましょう増速魔法クイック


「おっしゃ行くぜ旋風斧タイフーンアクス


 ジュロムが魔法をかけるとザードルの、速度が上昇し、回転数が桁外れにあがった。

 遠心力のついたザードルの斧が屍腐鬼ゾンビ供の頭を次々と砕いて!砕いて!砕いて!砕いて!砕きまくる。彼らのパワープレーのおかげで屍腐鬼ゾンビどもは消滅した。


 パチパチパチパチパチパチ、


 どこからともなく拍手喝采の音が聞こえて来た。


「いやあ素晴らしいですねえ屍腐鬼ゾンビどもがここまでやられたのは初めてです。ウフフフッ」

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