表の顔と裏の顔

 わたしとトウマは同じ高校に通っていた。クラスが一緒になった二年生の途中から付き合い始めた。


 そのとき、彼は室長を務めていて、誰とでも分け隔てなく話せるタイプだった。ある一部の男子のようにバカ騒ぎをするわけでも無いが、特定の仲の良い友人もいるし、皆とは一定の距離を保ちつつも、周りに好かれる人だ。


 一方でわたしは、用事がなければほとんど男子とは喋らず、教室の片隅で静かに勉強しているようなタイプ。友人付き合いもそこそこあって、お喋りも楽しむが、興味がなければ自分から進んで交流はしない。

 クラスでの外面は優等生、じつは中身はおっちょこちょいである。


 そんな私たちがいろいろあって付き合うことになるわけだが、(馴れ初めはまた機会があれば!)恋人同士となれば、相手の裏の顔も見ることになる。さて、トウマにはどんな裏の顔があるのか……


 結論。裏表がねぇ!!


 付き合ってもまったく変わらなかった。距離は近くなって、いろんな話もするようになったけど、変わらなさすぎる。付き合う前から感情はよく顔に出てる人だったし、優しい態度も変わらない。え、あなた、聖人ですか?というほどブラックなところがない。


 対してわたしはというと、彼に甘えられるようになったと言えば聞こえはいいが、もともとしっかりしている人物に見られていたところに、実はうっかりの、おっちょこちょいの、忘れん坊の、だらけるのが好きな人、である。


 落差、激しすぎる……


 こんなにダメなところを見せても、受け入れて微笑んでくれる彼氏、手放せませんよね?


 今日もわたしはトウマのかわいいを糧に、良い女を磨くべく、しっかり睡眠を取ろうと思います!

(何言ってんだ、ただ寝たいだけ。

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