番外編
【ヒロインの性格が死ぬほど悪い乙女ゲームに転生したけど、私は何もしてないのに巻き込まれる悪役令嬢だった。】のヒーローが1つ前の話で出てきたので少し番外編にしようかなと思いました。もしかしたら本編でも絡みが出てくるかもしれないので番外編と書いてますが、読んでくださると嬉しいです。
時系列は本編より後です。
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今は放課後で図書委員の仕事をしているところだ。委員の時はあかりに先に帰ってもらうという約束をしたので今日は1人で帰る日だ。
「シオン! 私も来てよかったの? シオンだってちゃんと話したことないんでしょう?」
「そうだね。一応従兄弟だし、僕の婚約者紹介したいなって思って。先週急にお父さんから実はもう1人従兄弟がいるって聞いた時はびっくりしたよ。」
まだ、中一なのに婚約者がいるのか。お金持ちの人って大変だなぁ。そういえば一条くんって私の従兄弟じゃなかったっけ? 男の子だったの? てっきり女の子だと思ってた。
私は関係ないとぼーっとしていたが先程話していた2人は私の目の前に来た。
「はじめまして、一条シオンです。かなさんで合ってる?」
「あっ、はい。」
この人が噂の……。遠くからは見たことがあったがこんなに近くで見たのは初めてだ。しかもこの人が従兄弟だなんて信じられるだろうか。一応私従兄弟の顔は知っていたみたいだ。名前と顔が一致していなかっただけで。
すごい美形だが、隣にいる女の子も負けていない。性格を知らないから言えることだが……
「悪役令嬢っぽい……」
「悪役……?」
声に出したつもりはなかったが口から出ていたようだ。
「あ、ごめんなさい! 本当にそう思ったわけじゃなくて!」
「シオン、この子すごくかわいくない……? それに少し話したいことがあるから図書委員変わってあげて!!」
「……わかった。その代わり早くしてね。」
女の子がはーいと返事すると一条くんが女の子に触れるだけのキスをした。女の子は顔が真っ赤だ。私が二人を見ながらぼーっとしてると女の子がコホンと咳払いした。
「入江リオです。唐突だけど乙女ゲームは好き?」
「好きというか、なんというか。嫌いでは無いですよ。あの、もしかしてこの世界って?」
やっと出会えた!! と急に抱きしめられた。聞いた話を要約すると……。
入江さんは5歳の時に前世の記憶を思い出したらしい。前世で亡くなったのは18歳。私は前世を思い出したわけでもないから前世の話はあまり出来なかった。それにまだ婚約者である一条くんにはこのことを伝えられていないようだ。なんていう乙女ゲームか聞いたが聞いたことない名前だった。杏ちゃんだったら知ってるかな? また、ヒロインも前世持ちらしくてしかも一条くんを狙っているらしい。入江さん大変だなあ。本当に悪役令嬢だったなんて。
「ちなみにトップ4も攻略対象よ。攻略対象多いんよね。」
入江さんは、トップ4に知り合いは居ないから安全だけど……とつぶやいた。私は、知り合いなんだけど!? これってピンチなのか。
「かなさんがヒロインになにか言われるということはないと思うわ。あの人シオンのこと好きだし……。」
寂しそうにつぶやく入江さんをみておもわず守ってあげたいと思った。入江さんのほうがよっぽどヒロインの気質だと思うけど。こんな可愛い悪役令嬢どこ探してもいないと思うよ。
「リオ? 僕はリオしか好きじゃないって言ったよね? あ、真っ赤になって可愛い。好きだよ?」
急に一条くんが来たかと思うと後ろから入江さんに抱きついた。なんだなんだ。このバカップルは。でも、彼氏っていいなぁ。あ、この2人はこんやくしてるのか。
「あれ、かなここにいたの? 図書室誰もいないからびっくりした」
そうだった。図書委員を任せてた一条くんがここにいるし、それだったら誰もいないよね。急いで戻らないと。
「あ、しゅん。入江さんたちとちょっと話してたの。」
「そのバカップル? あ、確か従兄弟のなんだよね? それは置いといて。一緒に帰ろ? もう委員の仕事も終わりだよね?」
時計を見るともう少しで下校時間を報せる音楽が流れる。とりあえず図書館に戻ろう。荷物もって置きっぱなしだ。
「あの、私のことはリオがって呼んでくれない……? わたしもだよ!あなたのこのかなって呼ばせてもらうから。えっと、はじめて素で語れて楽しくて。」
真っ赤になっていうリオはすごく可愛い。なんていうかふわふわしてる? 確かに乙女ゲームのことはなせるお嬢様はいないだろう。私も友達が増えて素直に嬉しい。
「よろしくね、リオ。またね!」
顔をぱぁっと輝かせて大きく手を振るリオは本当ね中身18歳以上なの? と疑うくらい可愛かった。となりの一条くんに抱きしめられてまた真っ赤になってたけど。
「かなは、誰よりも可愛いよ? 好きだよかな。俺から離れないで。それであのバカップルみたいにイチャイチャしよ?」
「なっ! しないよ!!」
しゅんに冗談でもそう言われて嬉しい私がいるって言ったら笑われるかな? 私もあかりに大好きって伝えようかな。きっと喜んでくれると思う。
「今日は歩いて帰ろ! かなの家まで送るよ!」
「私は毎日歩いて帰ってるけどね」
2人で帰るのも悪くないよね。
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満足。
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