16.

「ふわぁぁぁ、……今何時だろ。うわ! もう10時!? 急いで準備しないと。」


10分後、急にインターホンが鳴った。え? まだ着くって連絡来てないはずだけど。


「あかりだよ~! あ、着替えてた!?」


ほぼ下着姿の私と、部屋のドアを思いっきり開け放ったあかり。


「かなちゃん、胸大きい……。」


「そんなことないよ。」


私の胸をガン見するあかり。確かにあかりは……絶壁。でも、ヒロインに色気なんて必要ないよね。可愛い無邪気なところが長所なんだし。え、もしかして私の長所って胸だけ?

あかりに少しだけリビングで待ってもらい急いで着替えた。


「おまたせ」


「かなちゃんその服かわいい!」


「いつもは着ないんだけどお母さんに渡されたの。」


お母さんが渡してきたのはグレーのニットのワンピース。体のラインが出てしまうのでいつもは着ないような系統だが、何故か1000円渡されたので着ることにした。春だけど風が強くて寒いためいいぐらいの温かさ。あ、ちなみに雨は降っていない。風だけ強いって感じかな。それにしても、なんで私が遊びに行くことを知っていたのだろうか。その疑問は数分後解決する。


「かなー! 会いたかった、その服やっぱり似合ってる。」


「わっ」


会ったら抱きつくというのはしゅんの中では恒例になっているのだろうか。少し慣れてきた自分が恨めしい。


「あっ、でも……。____こんなに着痩せするタイプなのかあ。」


「ん? でも?」


「ううん。僕の上着貸すね」


「ありがとう?」


そんなに寒くないんだけど気を使ってくれたなら断らない方がいいよね?

そう思っているとれいながこちらを呆れた顔でみていた。主にしゅんを。


「かな、それはしゅんが贈ったものですわ。かなのお母様に頼んでましたの。」


「え!? この絶妙に恥ずかしい服?」


お母さんが妙に着せたがっていたのは理解出来た。お母さん絶対しゅんの顔が好きなんだよ。でも、この服返せないよ。お金も絶対足りないだろうしさすがに来た服を返すのも失礼だ。


「デートする時また着てね~。」


「しない!」「しませんわ!」


安定のふたりだ。デートなんてする必要ないし、約束ももちろんしていない。私はサポートキャラだからね。

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