1.

 「かなちゃん! 一緒に学校行こ!」


 え、この美少女はどちら様ですか。玄関のドアを開けるとすぐ外にピンクの髪をした知らない美少女がいた。


 「あの……人違いじゃ」


 「あら、あかりちゃん! 中学でもかなと仲良くしてあげてね。」


 なんでお母さんこの美少女の事知ってるの!?


 「もちろんですよー!! いこ?」


 この美少女……あかりは私の手を引き歩き出した。結構強引な子だなあ。


 「ねぇ、方向間違えてない? 中学あっちだよね?」


 「え? 間違えてないよ? あの看板にも『皇学院はこちら!!』って書いてるし。」


 あれ、私そんな名前の中学通う予定なかったけど? それにこんな可愛らしい制服なんて昨日の夜用意しなかった。それに朝はちゃんと紺色の制服を着たはずだ。膝より長めのスカートも記憶にある。寝ぼけてたとしても、真っ白な制服と紺色の制服を間違えることは無いだろう。全て外に出た瞬間におかしくなったのだ。


 「ちょっと鏡貸してもらっていい?」


 「いいよ! はいっ!」


 美少女は持ち物まで可愛いのか。鏡にマカロンがついてるなんて聞いたことないよ。ちょっとまって。私の髪色こんなだった?長さはそのままのボブだが色がおかしい。こんなミルクティー色に染めた覚えはない。


 「相変わらずかなちゃんは可愛いね!」


 それはあんただよ。顔もこころなしか可愛くなっている気がする。まぁ、元が良い訳じゃないんだけど。それに、髪色だけでなく瞳の色も変わっている。目が赤いんだけど。充血とは違うし……


 「どうしたの?」


 「ううん、なんでもない。鏡ありがとう」


 全然!と美少女スマイルが返された。この子は学校生活で私の癒しになりそう。とにかく私には皇学院に行くという道しか残されていないようだ。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 「やった、同じクラスだ!! 嬉しい……」


 私の名前がある。皇学院なんて初めて聞いたのに。あかりの名字は小鳥遊のようだ。私は高橋だから出席番号はあいりのひとつ後ろ。私本当に皇学院に通うのかあ。ぼーっと考えていると遠くで黄色い歓声がした。


 「え、なに」


 「気にしないで教室いこうよ! ね?」


 見に行きたいと思うほど私には気力が残っていなかったのであかりの提案に乗り、教室に向かった。


 「出席番号順に座るみたい。私たち前後だね!」


 「……あかりが1番後ろで私が1番前みたい。」


 私がそういうと目に見てわかるように落ち込んだあかり。私も一番前は地獄だなあ。


 話は戻すが、やっぱり私にこんな美少女な幼馴染なんていただろうか。学校の名前にも聞き覚えがない。私が通う予定だったのは青山中学校。普通の公立中学校で校舎もどちらかと言うとボロかった。


 「あかり、青山中学って知ってる?」

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