第6話:付人

「私が側にいて戦い方を教えて差し上げます、だからお願いします」

「僕も手伝うよ、僕の知る限りのことを伝えるよ」


 若く見える二人のフェアリーが進んで協力を約束してくれました。

 もしかしたら恋人同士なのかな?

 男の子の方は、女の子と離れるのが嫌で、志願してくれたのかな?

 それとも、女の子にいい所を見せたくて、命懸けの勇気を振り絞ったのかな?

 そんな思いが湧き上がってくるくらい、初々しい二人です。


「そう、では二人に御願いするわね」


「任せてください、聖女様に危険が及ばないように、できるだけ安全な方法で、闇の者を撃退してもらいますから」

「そう、そう、僕たちに任せてくれれば大丈夫だよ。

 まずは聖殿に魔力を注いでもらおうよ。

 聖殿が力を取り戻したら、それだけで闇の者はここからはじき出されるよ」


 女の子に負けじと男の子が勢いよく話してくれる。

 男の子の言うように、魔力を込めるだけで闇の者が撃退できるのなら、それが一番安全で楽だと思う。


「そう、では聖殿という所に案内してちょうだい。

 ところで、話すのに不便だから、二人の名前を教えてよ」


「私はシーラよ」

「僕はナルックだよ」


 私は二人のフェアリーの案内されて、聖殿に向かいました。


「じゃあね、闇の者を討ち払う、聖なる呪文を教えるね」

「そう、そう、そう、この呪文は凄いんだよ。

 木や草を焼くことなく、闇の者だけを光で滅するんだよ。

 僕たちもこの呪文を使って戦ったんだけど、相手が強くて多過ぎるんだよ」

「ナルック、聖女様が不安に思うような事は言うんじゃないわよ!」

「ごめん、ごめんよ、シーラ、許してよ」

「私に謝ってどうするの、謝るのは聖女様にでしょ!

 ほんとに何にも分かっていないんだから!」

「ごめんよ、本当にごめん、シーラ。

 ごめんなさい、聖女様、不安にさせるつもりはなかったんだよ」


「分かっているは、気にしなくていいわよ。

 でも、その闇の者がどこにいるか私には分からないから、気がついたら教えてね。

 できるだけ遠くにいるうちに、聖なる呪文を試してみたいから」


「任せてください聖女様、私が必ず見つけて差し上げます」

「僕も、僕も頑張って見つけるようにするよ」


 二人の力に頼らないと、魔力はあっても使い方が分かりません。

 敵だという闇の者が、どれほど怖い存在なのか分かりませんが、できるだけ遠くにいるうちに斃した方がいいのは常識です。

 二人に頼るつもりでいたのですが、明らかに嫌な感じがするモノがいる

 それが遠くにいるうちに感じとることができました。


「シーラ、ナルック、たぶん闇の者が分かったと思う。

 ここから呪文を唱えて効果があるか分からないけれど、近くに来てからいきなり唱えるのは怖いから、今から試しに呪文を唱えてみるね」

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