【完結済】おばあ様は心配性 - 冒険者になった孫が心配だから、現役復帰して一緒にパーティを組む事にしました -

ぷぷ太郎

プロローグ

(なぜ・・・なぜこんな事に・・・)


少年は目の前の惨状に呆然と立ち尽くしていた。


ここは王都にある冒険者ギルドの待合室だ。多数のテーブルと椅子が設置され、メンバー同士の待ち合わせや話し合い、軽い飲食など、ある程度自由に使えるスペースである。


つい先程まで多くの冒険者達が、昨日達成した依頼の報酬の分配や、この後の予定について話し合ったりしていた。


だが今は、テーブルと椅子は壊れ残骸が散らばり、待合室というより廃材置き場に近い有様だ。


その残骸の中で、冒険者であろう男達が倒れていたり、呆然と座り込んだりしている。手足を縛られ、罵声をあげながら床でのたうち回っている者までいる有様だ。


「それではこれからよろしくな!キース!」


自分の正面にいる女性が、満面の笑みで握手を求めてくる。大柄で勝ち気そうな印象の人物だ。


(騒ぎの原因はこの人なのに、なんでこんないい笑顔なんだろう・・・)


その右には、首から海の神のシンボルを型どった聖印を下げ、小柄だがメリハリのきいた体つきの女性が微笑を浮かべ、左側には、自分より頭二つ分ぐらい大きな、まさに筋肉の壁といった大男が「うんうん」と頷いている。


三方向を押さえられ、後ろは壁。どうにも逃げ場のない事を悟った少年は、差し出された女性の手を取り「よろしくお願いします・・・」と小声で言うのが精一杯だった。

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