冬と手を繋いだ帰り道



頬に落ちてきた

冬の雨


冷たさよりも

温もりを感じたのは

なぜだろう


言葉も一緒に

心に落ちてきた気がしたけど

弾けた雨粒がすぐに

居なくなってしまうのと同じように

確かに一緒に夜を歩いていた言葉も

ふわりとどこかへ消えてしまった




後ろ姿を探すように

月が雲で見え隠れする空を見上げても

見えるのはやっぱり月と雲ばかり

それはそれで綺麗だからいいか、と

ふぅ、とひとつ息を吐けば

白い姿のもやもやが宙を舞うから

なんとなく冬と手を繋いだような

そんな気がしたんだ。



ほんの少し、笑えたんだ。



だからもういっかい

いっぱい息を吸って

いっぱい息を吐いて

白いもやもやに冬の姿を見て



ゆっくり、また笑って


ゆっくり、帰ろう。




















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