どうでもいい割に首を突っ込むのね2
メルキオール研究所から二キロほど離れたとある公園。まだ幼稚園や小学校が授業をしている時間なので、利用者はほとんどいない。公園にいるのは鳩に餌をやるおばあさんや、授業をサボっている学生や、物理的に家のないおじさんなどである。
「どうやら感染者はまだ出ていないようだな。良かった」
和やかな公園の風景を眺めて、博士はほっと息を吐いた。道中も特におかしな話は聞かなかったし、感染者はいないと考えても大丈夫だろう。
「で、どうやって回収するんですか?メディシンⅡ」
「わからん」
「は?」
キプツェルが隣を見下ろすと、博士はキリッとした眼差しで顎を撫でていた。そして余裕たっぷりにゆっくりとキプツェルを見上げ、こう言った。
「いや、だから、わかんないんだ」
「……貴様はホントに……」
「いやいや、待って待って待って、わかるわかるわかるから!わかるから殴らないで――!」
拳を振り上げるキプツェルに博士は両手のひらを付きだしわたわたと動かした。数分後、怒りを静めたキプツェルと頭にこぶを作った博士が真剣に話し合っていた。
「で、本当にどうすんですか?」
「うん、だからね、殴らないでね、あのね、何か違う薬品を作って、メディシンⅡを中和させたらいいと思うの。どう?」
「だったらまた研究室に戻らないといけないじゃないですか。早く言ってくださいよ」
「ごめん、ごめん、だから殴らないで」
かくして二人の科学者は、対メディシンⅡ薬を作るために再び研究所へ戻るのであった。無駄な行動が多い二人である。
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