孤高の戦士

イミドス誠一

第1話 序章

ここは日本でも有数の歓楽街、新宿歌舞伎町である。(20180114)

ここは世界でも有数の歓楽街、日本では一番の言わずと知れた新宿歌舞伎町である。

裏通りを一見どこかの重役風の男が歩いていた。

実は男は、この地域一体の通称暴力団の中堅幹部である。

普段は、下っ端の二、三人を連れているが、今日はその一人が何者かに刃物で切られたと言うので、珍しく一人だった。

だが、この所、敵対組織とも旨く行っており安心しきって、暗い裏道も歩いている。

男は少し先で物音がし、身構えたが、浮浪者と知りまた歩き出した。

少し酔っているが、それ以上に浮浪者はよろよろで、木の棒を杖によたよたと歩いて来た。

臭い匂いを嗅ぎたくないので足蹴に使用かとも思ったが、少し離れて通りすぎることした。

だが丁度横に来る少し前に浮浪者はよろけて少し近づいたと思ったら、腹に鋭い痛みを感じ、腹を見るとすっぱりと横切られ内臓が飛び出しいて、呻き声も上げる事なく絶命していた。

浮浪者は、慌てることなく次の路地を右に曲がり、左に曲がりし、表通りに出た。

その時には髯を綺麗に整え帽子を被った少し大きめのバックを持ったサラリーマンに変わっていた。

路地を右に左に通ったのも、監視カメラのない道を巧みに避け、途中着替えて出で来たのだ。

あとは、24時間、眠ることのない雑踏に紛れ消えてしまった。

翌日のテレビ、新聞、インターネットのマスコミには、敵対組織の犯行か、内部抗争の可能性が濃いとの報道が載った。

その後、一週間の間に歌舞伎町で同じ組、他の組も含め3人の幹部が殺害された。

殺害方法もばらばらで、一人は刀と思われる惨殺、一人は近距離から小口径拳銃による銃殺、最初に腹部に一発、次に心臓、最後に額を撃たれていた。

三人目は、遠距離からの狙撃で事務所を出た直後、50口径の弾丸で胸部を撃たれた。

二件の銃撃で銃声を聞いたものは誰も居なかった。

連日、マスコミの話題を浚ったが警察の捜査に進展は無く、目撃者も銃弾の線条痕の履歴も無く有力な情報は何も無かった。

被害者達が組織犯罪の者に限られている為、警察の対応も甘いとも言えた。

マスコミの解説者は今後の一般人への巻き添えを懸念していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る