第27話 告解部屋

インナさんとアンナさんが扉を開け中に入る。

後に続いて私たちも中に入る。

セギョンは、ずっと私の腕にしがみついている。

ひんやりとした空気が頬を撫でた。

セギョンもそれを感じたのかより一層、私にくっつく。

入口から主祭壇に向かう身廊を歩く。

礼拝堂の席には、疎らだが、あちらこちらに祈りを捧げている女性の姿がある。

でも、人が少なくない?

本当に此処で夜宴が行われているのだろうか?

前を歩いているインナさんとアンナさんが立ち止まり私を見た。

私は、すぐ近くの席にセギョンと腰をおろした。

私とセギョンの動きを確認してアンナさんとインナさんは、動き出した。


「ここは、何をする場所なの?」

隣のセギョンがステンドグラスを見つめながら聞く。

「ここは、神に祈りをするところ。」


「祈り?」

私の言葉に考え込むセギョン。

「テティス様は、此処には、いませんよ。」

「それに私たちはテティス様たちをお守りするのが仕事ですよ。」


「そうだよね。」

セギョンの言葉に頷き、セギョンの手を握る。

いつの時代から代わってしまったのだろうか?


絶対的な存在、太陽神を忘れてしまったのだろうか?

私たちは、何処に行ってしまったのだろう?


天井の高い聖堂内は、ひんやりした空気が流れている。でも、寒くはなかった。


周りの様子を観察していたが、アンナさんやインナさんの姿は、確認出来ない。

何処を調べているのだろう?

でも、先程から気になる扉が1つある。

女性が1人、また1人と入っていて、しばらくすると出てくるが、入ってからまだ出てこない女性が2人いる。

あの扉の先に何があるのだろう?

「ジンさんたち来ないね。」

私の思考を察知したようにセギョンが言った。

「ね、何処にいるのかな?」


「ん、わからない。」

そう、セギョンは言って祭壇の十字架を見つめた。

「あれは、なに?」

回りに気付かれないようにセギョンは、小さく人差し指で十字架を指差した。


「十字架だね。」

「十字架?」

セギョンが私に鸚鵡返しした。


「罪人を張り付けて処刑するための刑具だね。」

そう私は、答えた。

「誰かこれから、此処で処刑されるの?」

セギョンの問いかけに私の答えが的外れだったかなと思った。

十字架は、確かに刑具だが、聖堂における十字架は、違うも意味のものだ。神の象徴。


でも、私たちに尊い存在は、太陽神だけだ。

そう思うとここに座っているのが場違いに思えた。

私は、セギョンの手を握り立ち上がり、先程から女性が消えていく扉に向かって歩きだした。


セギョンと2人、扉に入って行く。

ドキドキしながら扉の中に入ったが待っていたのは、廊下だった。

あ、1人の女性が私たちの数メートル先にいる。女性の左側にある扉を開けて中に入って行く。

扉が閉まるのを確認して、扉がある位置まで歩く。

ここは…

扉の横には格子付きの窓がありベルベットのカーテンが閉ざされいる。

微かに女性の声が聞こえる。

誰かに何かを話しているようだ。

「告解部屋かな?」

セギョンが小声で呟いた。


「告解部屋…」

セギョンの顔を見て私も呟いた。


ジンさんが、外食したときに確か話していた。

「まさか、俺たちが居るところから目と鼻の先で夜宴が行われるとは、思わなかった。」

「それもあの聖堂は、明治31年に建てられた由緒ある聖堂なのだが。」

「前に聖堂に入った事は、ある。告解部屋も三室あったな。」


そうだ、ジンさんは、告解部屋は三室あったと言っていた。

セギョンの手を握り前に少し歩く、すぐに似たよな扉があった。その扉を横目にもう少し歩く。

3つ目の扉が、あった。

告解部屋は、告白の部屋だ。

1人しか入れない。

「セギョン、私は、この中に入ってみる。」

そう言って後ろを向き2つ目の扉を指差した。

「セギョンは、ここで少待ってて、万が一、私が出て来なかったら、ここに入らないで聖堂に戻ってアンナさんたちに知らせてきて、私がここに入って出て来ないと。」


「ハキ様、一緒に行きます。」

セギョンは、不安そうな目で私を見つめる。

「大丈夫、念のために言っただけ、ちゃんと戻って来るから。」


「はい。」

まだ、不安そうな目をしているセギョンの頭を撫でて笑顔を見せる。

「行ってくる。」

扉のノブを回した。

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