結局

 色々と考えたんだ。君を思うために、地球を覆うほどの言葉の絨毯を編んで、そして解いてはまた編んで……そうやって必死に君を探していたんだ。狐が湖に飛び込んで火花となるように、僕も愛の地平線に沈んで見せたんだ。けれど、こんな荘厳な言葉いらないんだ。

 色々考えたんだ。悩んだ末に、やっと思ったことは、君に会いたい。それだけなんだ。この言葉を、鶏の羽を不死鳥の羽にするみたいに、飾ることは容易だった。必死に言葉を探している間は、君を探すと同時に言葉を探していたのだから。僕の目は、純粋すぎる君に潰されずに済んだんだ。けれど、もう井戸は枯れてしまった。僕は、ついに君に送るたった一つの言葉を選ぶことができた。

 そう、君に会いたい。それだけだ。


 君は喜んでくれるかな。それとも、とっくに僕のことなんか忘れてしまっているかな。

 僕は、君のことを愛しているよ。やっと、愛せるようになったんだ。

 でも、君は僕のことを怖がるかもしれない。あるいは、いつまでも変わらない僕を嘲るかもしれない。全部が全部、仮定でバカらしいね。

 でも、その程度のことなんだ。孤独な男が昔の恋人を想うなんて何てのは、あまりにありふれていて……

 でも、僕の胸は君を想っている。

 僕は君に会いたい。それだけなんだ。

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