とある日の放課後

 クラスで各委員会決めを行った次の日…


 放課後…俺達、男子風紀委員は噂通り体育館の掃除をやらされていた…


まだ体育館を使う部活が平日の休みの日だけ、風紀委員が掃除をする事になったが…… それでも俺は納得できない…… 風紀委員がする仕事じゃ無いだろ…やるとしても体育館の掃除は体育委員がするべきだろ…


そんな事を思いながら、俺はクソ暑い体育館でモップ掛けを風紀委員の男子と共に行っている……


それにしても暑い…今は…9月…8月が終わり、夏も終わりを迎え…秋の季節がやって来るのかも知れないが……まだ9月だ… 夏の余韻がまだある……9月でも十分暑い…


こんなクソ暑い所でよく運動部は夏休みに練習ができたなと少し感心してた所に…少し見知った声が聞こえてくる…


「よっ! やってるな西谷!!」


わざわざクソ暑い体育館にやってきたのは木島と結衣と風紀委員で俺とペアになった田所さんだった…


イケメンが美女2人と一緒に行動してても…何の違和感も無いのは凄い……さすが木島だ…


「フフッ…仕事…頑張ってるね? 蓮ちゃん」


 少し笑みを浮かべながら結衣はこちらに向かって言ってくる…


「こんなの仕事じゃねぇよ…雑用だ……全く…誰のせいでこんな事やってると思ってるんだか…」


「でも…こうして人とちょっと関わるのも……悪くは無いでしょ?」


「あぁ…そうだな…仕事が楽しくて楽しくて仕方がない」


「蓮ちゃん? そんな事……絶対思って無いよね? 顔でわかるよ」


「………… そう言えば、お前ら何しに来たんだ? わざわざ俺達、風紀委員の苦しんでる姿を見に来ただけじゃ無いんだろ?」


「逸らされた感じ……本当に思って無いんだね」


 結衣が何か言ってるが…関係無い……俺が楽しいと言えば…楽しいんだ……それで問題無いはず……!!


「そうそう、用と言えば西谷…. お前、今日…放課後空いてるか? 空いてるなら俺達と一緒にファミレスに行こうぜ!」


「………あ〜悪い 俺……今日バイトだわー」


「蓮ちゃん? 行けるよね? 私……蓮ちゃんがバイトしてないの……知ってるよ?」


木島達の誘いに面倒臭さを感じた俺は……適当な理由を付けて断ろうとするが……結衣にツッコまれてしまう……


幼馴染の結衣が居る以上……どんな理由を付けてもツッコまれること間違い無しだ……


「あ〜くそっ……ってかまず…何で俺を誘うんだよ? ファミレスに行くなら木島達……いつめんのグループで行けば良いんじゃ無いのか?」


「いや〜今日はそう言う訳には行かないんだよな〜」


「何で?」


「モモちゃんが蓮ちゃんの事……何も知らないから知りたいんだって」


「モモちゃん?」


「あ〜 モモちゃんって言うのは田所の事な? モモと西谷が今回同じ風紀委員になったから…モモがこの機会に西谷の事知って置きたいんだと……それで学校で西谷と最近たまに話す俺と西谷の幼馴染でもある結衣に話すきっかけを手伝って欲しいって来た訳だ…」


「なるほどな……で何でモモちゃん?」


「それは私の名前が田所桃香だからです…」


ここで初めて田所さんが会話に参戦してくる……今日も田所さんは可愛らしい顔……可愛らしいオカッパをしている……体も小さめだし…お人形さん見たいだ…


「西谷君……今…私を見て失礼な事考えてませんでしたか?」


「蓮ちゃん? 何考えてたの?」


 おっと……田所さんはひょっとしたら…体が小さいのがコンプレックスなのかも知れない……失礼な事と言えば……それくらいしか思い付かないし……


今度からは、田所さんの事は体が小さいとは思わない様にしよう…… うん……現に今も田所さんと結衣はジト目で見てきてるし…


それにしても……田所さんがジト目を向ける意味はわかるが結衣……お前は関係無いだろ……友達を庇ってあげてるのか? 優しいな…


その優しさを委員会決めの時も発揮して欲しかったな……


「それで西谷どうするんだ? 行くのか?」


木島が用を思い出させるように聞いてくる……


「いや……行かない…」


「何で?」


「だって…田所さんが俺の事……あまり知らなくても風紀の仕事はできるだろ?」


「……蓮ちゃん……そんな事言ってたらいつまでも友達できないんじゃ無い?」


困った顔をしながら結衣が言ってくる……


まぁ……結衣の言う通りだろうな でも俺はそれで良いと思ってる…… だって俺は望んで1人になってるんだから…


そう思ってると田所さんから…爆弾発言をされる…


「もしこのまま西谷君がファミレスに行ってくれないのでしたら……今から風紀委員の担当の先生…生徒指導の先生に西谷君が1人…体育館の掃除をサボってる事を言って来ましょうかね…」


「い…いや….な…何を言ってるんだ? そんな事したって…俺は現に掃除をしてるし…周りの男子風紀委員がそれを見てる……」


「「「「俺達は田所さんの為に…そこの冴えない奴が掃除をしてたとしても、してないと先生に言って置きます!!」」」」


 こ…この裏切り者めが〜!! 1人だった事にこんなに苦痛を覚えた事は無い……


何だ? その人がカッコ良かったり、可愛かったりしたら皆その人の仲間になるのか? クッソ〜!!


 それにしても田所さん……あんた…性格悪すぎるだろ? こんな可愛いお人形さん見たいな姿をして…こんなに性格が悪い事があるか?


 そっ…そうか……!! 俺がさっき…小さいって思った事への仕返しなのか? 確かに俺は田所さんの事を小さいとは思ったが…それを口に出してはいない……


なのに…何でそんな事が田所さんは分かったんだ? 田所さんは超能力者なのか?


 今も田所さんはニヤニヤとイジワルイ笑みを浮かべながら俺を見てくる……


「西谷……もう….諦めろ 今日は付き合ってくれるな?」


俺が冷汗を浮かべてると…木島が優しい笑みで俺に言ってくる…


「あ…あぁ…」


俺は首を縦に振るしか無かった……

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