生まれた時から一緒の幼馴染の恋を全力で応援します

ゆうちゃん

俺と幼馴染

 幼馴染の恋…それは幼馴染の幼馴染である者ならば全力で応援したくなる者だろう…


ま〜幼馴染に恋をして無い限りの話になるが…


  俺、西谷蓮也は幼馴染の恋を教室で見守っている所だった… 幼馴染の名前は石田結衣… 家は隣同士….生まれた時からずっと一緒だった…子供同士で仲が良いのはもちろん、互いの両親とも仲が良く、家族ぐるみの付き合いが多かった… 何をするにしても一緒…それが俺と結衣の当たり前になっていた。


 幼稚園、小、中と一緒になり、高校は流石に別々になると思っていた……が…そうもならなかった…


「蓮ちゃん!! 高校はどこ目指してるの?」


「何でそんな事気になるんだよ? 結衣 俺はちょっと遠いけど隣の市の高校に入ろうと思ってる」


「えっ!? この辺の学校受けないの?」


「結衣…それ俺に対する嫌みか? 俺が今住んでる付近の学校受けても頭アホ過ぎて受からないの知ってるだろ?」


「じゃ〜これから私と一緒に勉強しよ? わからない所教えてあげるから!! ね? これから頑張ろ?」


「いや…でも…」


「はーい!! 異論は認めません!! ほらっ!!家でゲームばっかりやってないで、これから勉強するよ!! 私、勉強道具もしっかり持って来たんだから!!」


「うわっ!! まじで持って来てるのかよ!! めんどくさいな〜もう…」


とそんな感じで結衣に勉強を教えて貰い、何とか家から近い高校に入る事ができた…


  結衣なら勉強が出来るからもっと頭の良い高校に行けると思ったが、何故か俺と一緒の高校を受験した… そして見事に2人とも合格し、俺は結衣と同じ高校に入学した…しかも一緒のクラスになった…


高校に入学してからの結衣はモテた…小学、中学の時もモテてたが、高校に入ってもモテた。


 結衣は容姿が良かった…艶のある黒い長い髪に清楚系な顔…足が長く、スタイルも良かった…それに加えて勉強、運動もできた… 料理も出来た…結衣は何をやらせても完璧に出来る人だった…そんな完璧な女の子を世の男子が放って置くはずも無く、結衣は小学生の頃から学年問わず告白されまくっていた……それは中学、高校に入っても変わらなかった……むしろ結衣は前よりも高校になってから告白される事が多かった…


でも結衣は今まで告白して来た男子は振っていた…どんな男子でも… サッカー部でイケメンである有名な先輩…野球部のイケメンも振っていた…結衣に告白して来た男子は皆、玉砕しているのだ…高校に入ってからもそれは変わらない…


「ごめんなさい…私…ずっと…好きな人が居るんだ…だから君とは付き合えないかな…」


結衣は告白して来た男子をそう言って振って来たらしい…男子の話を小耳に挟んだ情報であるが…


結衣にずっと好きな人が居る…学校の男子はその好きな人が気になっていた… だから男子はひょっとしたら結衣が好きな人は自分かも知れない…と言う期待を持って余計結衣に告白する男子が増えて行ってるのだ…


 でも今の所結衣は告白して来た全ての男子を振っている… だから学校の男子は結衣の好きな人が余計に気になっていてしょうがなかった…それは結衣の幼馴染である俺も気になっていた…


「なぁ…えっと….西谷…だっけ?」


そんな事を思っていると、クラスの男子が俺に話しかけて来た…


「ん? 何だ? どうした? それよりも俺たちも小中から同じなんだから、良い加減俺の苗字くらい覚えて欲しいんだが… 俺が影薄いのも悪いけど…」


「あはは…ごめんごめん…何だよ西谷…お前案外面白い奴だな!」


 俺の事を少し言うと俺は小、中、高と友達と呼べる人が居ない… 話相手は居たとしても友達とまでは行かない…でもそれでも良いと俺は思っている…友達が多いと何だか人間関係に疲れそうだ…だから俺は今のままで良い…結衣は違うが…


 結衣は芸能人並みにモテる事もあって友達が多い男女問わず友達が多かった…今も結衣は男女の居るグループで笑顔を交えながら友達と話をしている…


そして今話しかけて来た奴は、小学、中学から一緒の木島だ…小学、中学でも何度か同じクラスになった事があり、高校も同じ所に入学して、しかも一緒のクラスになった…


 木島は良い奴だ… 影の薄い俺でもこうして偶に話し掛けに来てくれる…名前は忘れかけられてるけど…


 木島はサッカー部で1年生でありながら、レギュラーの座を取っているし、勉強も出来る…しかもイケメンだ…結衣と同じ男女問わず人気者だった…グループだって結衣と同じグループとよく一緒になってつるんでいる…


そんなイケメンが俺に何の用だろうか?


「それで木島…どうしたんだ? 何か俺に用があったんだろ?」


「あぁ…その事何だけどな…西谷って…結衣ちゃんと小さい頃からの幼馴染なんだよな?」


 俺と結衣の関係は小学、中学、高校と皆から認識済みだ…何でも結衣は俺に話し掛けに来る事が多い…


 恐らく友達が居ない俺に気を使ってくれてるのだと思い、前に一回、一緒に帰ってる時に結衣に俺の事は気にせずに、仲の良いグループと絡めと言った事がある…そしたら…


「何で? 私は蓮ちゃんと絡みたい気分だったから来たんだよ? 良いじゃん…別に…小さい頃からの付き合い…何だしさ…」


と、互いの家の前で寂しそうな顔で言われた…そんな事を言われて断る程、俺も鬼じゃ無い…


そんな訳で結衣は俺に小学でも中学でも高校でも話し掛けに来てくれた…本当心優しい幼馴染だよな…性格が良すぎる…


 しかも結衣は予め、俺との関係を周囲にバラしていた…その為か俺が結衣と一緒に居ても男子からの嫉妬は見られなかった…


「あれ? 西谷そうなんだよな?」


「あ…あぁ…ごめん…そうだよ…幼馴染だ」


やべ…木島と会話してた事忘れてた… ごめん、木島…


「ふ〜良かった… 何の反応も無いから間違えてたかと思ったぜ!」


「悪い…」


「良いんだって!! 気にすんな! その事よりも西谷…俺、ぶっちゃけた事言うと…結衣ちゃんの事、中学の頃から好き…何だよな…」


「へ〜そうなのか」


「何だよ 興味無しかよ 西谷の幼馴染が好きなんだぜ?」


「そんな事言われてもな〜」


「まぁ良い… そこでお願いがあるんだが、結衣ちゃんって好きな男子がいるって事は知ってると思うんだが、それが誰なのか聞いて来てくれないか?」


 またこれか…この手の頼みは小学校から頼まれていた…でも結衣に探りを入れて見ても教えてくれなかったのだ…


「私の好きな人が気になるなら、学校での私をよく見てよ? そうしたら私の好きな人がわかるかもよ?」


これで突き返された…これは中学でも同じ…高校でも前に木島以外に同じ事を頼まれたが、同じ様な事を言われた…


「そんな事言われても、結衣は教えてくれないんだよな〜」


「やっぱりダメか…でも一応頼む…な…!! この通り!! 今度学食奢るから!!」


「ま〜あまり期待すんなよ?」


「おっ!!聞いて来てくれるのか? ありがとう!! まじで感謝だ!!」


それほどの事かと思うが、まぁ良い…


 こうしてもう一度結衣の好きな人を聞く事になった…



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る