第91話 運命の歯車は巡り廻る

空駆ける 乗り物にしている大鷹の上での会話が続く。


12歳前後のアーシュ 

彼の黒髪が強い風に流れ、長い耳がぴくりと時折、動く

吊り上がった赤い瞳が愛らしいエイルを見ている。


エイル、エルトニア 17歳前後の姿のエイル

彼女の長いウエーブのかかった金の髪もまた 風に梳かれて舞い上がっていた。


エイルの琥珀と青のオッドアイが見つめる

アーシュの赤い瞳に戸惑うように見つめ返したのだった。


わん子はただ、二人の様子を眺めている「わん・・エイルさん ワン」



「酒に それからエイルの手料理なら たとえ、いや

きっと喜んで残さずに食べると思う・・。」

横を向き視線は宙をさまよいつつアーシュが言う


「今、料理の事で 微妙な含みを感じたけど・・気のせい?」

半ばやぶ睨みになるエイル。


「気のせい・・」上を向き目をあわせず 

きっぱりというアーシュ 

破壊的なエイルの料理の事は今は沈黙するのみ


ハッ!とする 先の方で煙が上がってる 焦げ臭い嫌な臭いが漂う

兵士の剣を交わす甲高い音に絶叫が響きわたっていた。


「もう!始まってるのか! エイル!ワン子! 

西にいるという2千の部隊に知らせろ!それで半数の人数は助かる!」


「地上に降り立つのに風の魔法を使うから!」


「俺は この戦に加わる!」飛び降りるアーシュ! 


「いいな!急げ!」


「アーシュ!」「アーシュさん!ワンワン!」


途中まで風の魔法を使いながら


わん子から隠すように

マントを隠れ蓑にして サッと彼の背中から 出現したのは

黒みを帯びた翼 


そして地上へと降り立つと


炎の魔法と魔法の剣で敵をなぎ倒すアーシュ


大技の炎の竜の魔法か 

大地の竜を呼び出せば 敵の多くを倒すことが可能だが


ズキン!わき腹が痛む


やはり、まだ体力が戻ってない・・か・・

「レグルス!リアン!どこだ!!」


「大地の槍(やり)!」 

地面から 槍のような岩が瞬時に盛り上がり、敵をなぎ倒す


崖から落ち・・白馬のケンタウロスのレグルスの方は上半身を起し 

それから足をひきずり どうにか立ち上がる

傍に倒れてるリアンの傍にゆく


「ひっ!」レグルスの悲鳴がもれる何本も 矢が刺さり


そして・・敵の毒を持つ獣に


レグルスをかばって

その右腕はかろうじて繋がってるもののなかば食いちぎられいた


更に 崖から落ちた時に 奇妙な形に曲がっていた


気を失ってるのは或いは幸いだった

激しい激痛とショックで持たないかも知れないから



だが、このままでは毒がまわってしまう


見る見る黒く変色してゆくリアンの右腕

腕の上の方を紐できつく縛り

念の為に局部の麻酔用に持ち歩いてる眠りの粉をレグルスはリアンにかけた。


「すまん!リアンどの!」 

レグルスは自分の剣をリアンの右腕めがけて 振り下ろした

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