僕のセイギ。【短編】

匿名

01


ずっと世界を守りたかった。







        世界はぼくがいらないらしい。







  それでもぼくは セイギ にあこがれていた。







ずっと世界を守りたかった。







        世界はぼくがいらないらしい。







  それでもぼくは セイギ にあこがれていた。







-------------





お父さんはいつもいなかった。

すぐ出かけてずっと帰ってこない。



帰ってきたらボロボロで。



お母さんはずっと泣いていて。



ぼくは二人を救いたかった。




「お父さんはあなたの病気を治すために旅に出ているの。」



お母さんは悲しそうに笑った。



「ぼくがびょうきだから おとうさんは家にかえれないの? ぼろぼろなの?」


「わるいのは病気であってあなたじゃないわ。」


優しくお母さんがぼくを撫でる。

ぼくを安心させるためにできるだけ柔らかく、あたたかく笑う。


ぼくはおかあさんがだいすきだ。


中々帰って来ないおとうさんも

おかあさんを泣かせてしまうけど でもだいすきだ。



てれびはうつらなくて 本も一冊だけ。しかもぼろぼろ。


でもぼくのお気に入りの本。


セイギノヒーロー


世界を守るんだ。


みんなが笑ってしあわせになる結末の本。




ぼくは セイギ になりたい。



「おかあさん ぼくね。 おおきくなったらセイギノヒーローになって 

おとーさんとおかーさんを笑顔にするの。」



「まあ、たのしみね。」


笑いながら 本気にしないかんじだったけど。


どんなセイギでもいいや。  わらわせてあげたい こころからしあわせにしてあげたい





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