さながら秋風の如く:2 再び走り出した君へ
彼方から響く 君の名を呼ぶ声
立ち上がった君は もう私を見ない
君は行く 私を置いて
君が流した涙は 再びの始まりのしるし
流れ始めた風 回り始めた時計
世界はまた 君のために動き出す
君の心臓は鼓動を刻み
こぼれた笑顔はあの子に向けて
そして 君はまた走り出す
私のことなど忘れて
掌にあったはずの君の心は
幻でしかなくて
傍に居ると 私に呟いた言葉も
幻でしかなかった
だから私はこのまま
此処でそっと 瞳を閉じましょう
たった ひととき
この場所に居てくれた 君の
揺らめく笑顔を 胸に抱き
そっと眠りに着きましょう
走り出した君が
再びここに戻ってきたりしないように
ああけれど けれど一つだけ
願わくば
私の思いのひとかけらが
君の心の奥深くで そっとそっと
息づいていますように
―― 水晶/凍った心の欠片たち
「vertige」様(現在は閉鎖)の「宝石イメージで5つのお題 寂しい心編」より
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます