さながら秋風の如く:3 彼はいつも君の傍に

彼はいつも君の傍で見ているよ

だから嘘をついてはいけないよ

だから怠けてはいけないよ


語り継がれる彼の存在

我々は皆 彼の子供

彼の意に背くものは罰され

彼の意に適うものが褒められる


けれど

いくら手を伸ばしても

彼の背中には届かない

虚ろな心を抱えても

彼は言葉を返さない


彼はいつも君の傍で見ているよ


語り継がれる彼の存在

全てを見通している筈の彼


声を上げても 涙を流しても

子供が死んでいっても

森が枯れていっても

それでも彼はここには居ない


彼はいつも君の傍で見ているよ

空っぽの言葉が風に踊り

君はそれでも祈りを捧ぐ




―― アイオライト/深淵を覗く瞳



「vertige」様(現在は閉鎖)の「宝石イメージで5つのお題 寂しい心編」より

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